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「2つの柱」


 日銀の福井総裁は21日の会見において、『日本銀行としては、2つの「柱」による点検を踏まえた上で、経済・物価が今後とも望ましい経路を辿っていくためには、この際金利水準の調整を行うことが適当と判断したわけです。』と述べている。この2つの柱とは、2006年3月9日に日銀から発表された「新たな金融政策運営の枠組みの導入について」には下記のようにある。(日銀のホームページより)

 『金融政策の運営方針を決定するに際し、次の2つの「柱」により経済・物価情勢を点検する。』

 『第1の柱では、先行き1年から2年の経済・物価情勢について、最も蓋然性が高いと判断される見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長の経路をたどっているかという観点から点検する。』

 『第2の柱では、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検する。具体的には、例えば、発生の確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因についての点検が考えられる。』

 福井総裁は会見においては次のように述べていた。

 「今回の政策変更は、あくまで2つの柱による点検を踏まえたものです。第1の柱、第2の柱とも十分点検したものだということです。第1の柱、すなわち先行きの経済・物価情勢について最も蓋然性の高いと判断される見通しを点検しました。そしてその蓋然性がやはり高いということに至ったわけですので、物価安定のもとで持続的成長が続くということであれば、その変化に応じて徐々に政策金利水準を調整する、これが息の長い成長につながる。これが第1の柱による判断です。」

 「第2の柱というのは、起こる蓋然性はそう高くなくても起こればダメージの大きいリスクというものをあらゆる角度から点検するということであります。この点については、やはり低金利が実勢と離れて長く続くという期待が定着する、そのような場合には、行き過ぎた金融・経済活動を通じて資金の流れや資金配分に歪みが生ずる、これはむしろ息の長い成長を阻害する可能性――起こる蓋然性が高いと言っているわけではありません――がある。それらを踏まえて判断したという意味で、2つの柱による判断であったと思っております。」

 これを見ても明らかなように日銀はフォワードルッキングによっての正常化路線に再び戻ったと言える。戻ったといえことは一時的に、この路線からやや外れていたということにもにもなりそうだが。12月や1月の決定会合で利上げが見送られた背景のひとつとしては、政策委員とともに日銀内部でもさらなる景気や物価への点検の必要性を感じていたためとも思われる。加えて1月など政府側からのあまりの圧力によって、無理に利上げに踏み切れば政府との軋轢を残すこととなり、今後の政策運営にも大きな支障を残す可能性もあった。これは2000年8月のゼロ金利解除の際に一度経験していることでもあり、避けたかったのではなかろうか。

 今回は政府もマスコミも静かに会合の行方を見守っていた。特に反利上げの急先鋒であった人物も今回は言動を控えていた。この背景には欧米の政府関係者あたりから何がしかの意見があったのではないかとの見方もあったが、ここで日銀との対応にぎくしゃくしてはむしろ政府への批判も高まりかねないとの判断も働いたといった見方もあった。また政府も注目している指標であるGDPが良かったことも影響はあったのかもしれない。市場の波乱要因ともなることで、できれば政府には今後も大人の対応をしていただきたいと思う。

 マスコミも今回は妙なリーク合戦は控えられていた。しかし、決定会合開催中にNHKが議長提案を報じたことはいただけない。特に今回は他のメディアが静かだっただけに、NHKが抜け駆けしたかの印象もある。これはひとつの情報漏えいともいえるものでもあり、決定会合に絡んでいる方々には十分な注意をしていただきたいと思う。
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by nihonkokusai | 2007-02-23 13:08 | 日銀 | Comments(0)
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