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「現実にひび割れた一枚岩」


 読売新聞によると、昨日の金融政策決定会合において、消費者物価や個人消費の先行きに懸念があると訴える文書を政策委員全員に配り、利上げで日本経済がデフレに逆戻りする恐れがあると力説したそうである。また、朝日新聞によると、政策委員の意見表明をやり直したとも伝えられている。政策委員の意見表明をやり直したが、岩田氏の主張は変らなかったとも伝えられた。読売は東大教授だった岩田氏は、2003年3月に当時の竹中平蔵経済財政相の推薦で小泉首相が日銀副総裁に起用したともコメントしていた。

 総裁と副総裁の執行部の票が割れるということは、新日銀法下ではもちろん初めてだが、円卓と呼ばれた旧日銀法時代の政策決定においてもなかったことである。たしかに英国のイングランド銀行では正副総裁の票が割れることはめずらしくないとはいえ、日本と同じく金利をターゲットに置いている FRBなどでは執行部の意見が割れることはまずないとされる。読売にも出ていたが、ただし1986年には当時のレーガン政権が送り込んだ副議長らがボルカー議長に造反したが、結局、造反組は辞任に追い込まれている。

 今回、執行部の一枚岩がひび割れたことは今後の金融政策にも少なからぬ影響もあるともみられる。尾身財務大臣の言うように、今回は全会一致がむしろ、不自然であったかもしれないが、その反対票が副総裁から出されたということの意味は大きいものがある。今後の日銀の金融政策を見る上で、岩田副総裁の動向といったものも注目される。

 12月や1月の利上げを巡るゴタゴタで日銀の信認もやや低下したようにも思うが、今回の利上げで再び軌道修正を行い、今後失いかけていた信認を徐々に取り戻していく必要もある。正常化に向けての明確な反対者が出たことで、今後の決定会合もこれまで以上に踏み込んだ議論が交わされるかもしれない。さらに、執行部の票割れによって、執行部3票をひとつと考えられなくなり、武藤副総裁も状況次第では総裁と意見を異にする可能性もないとは言えない。

 今回以降は、金融政策がまさに1票、1票が重みを持つ本来の意味での多数決によって決定されることとなろう。このため、金融政策の予測といったものはさらに難しいものとなる。しかし、政策委員一人一人の意見といったものがより明確化されれば、自然と市場もある程度の読みも可能となるかもしれない。

 今回の金融政策決定会合は、あとで振り返ってみれば日銀の金融政策の歴史のひとつの分岐点となるのではなかろうか。
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by nihonkokusai | 2007-02-22 10:28 | 日銀 | Comments(0)
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