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「日銀は追加利上げを決定」


 本日の日銀金融政策決定会合において、福井総裁は利上げを議長提案し、8対1の賛成多数で追加利上げが決定された。反対したのは岩田副総裁であった。新日銀法による現在の金融政策決定会合の仕組みが出来てから、総裁と副総裁のいわゆる執行部の賛否が割れたのは初めてのケースとなった。補完貸付の基準貸付利率もやはり8対1で0.75%に引き上げられた。

 消費や物価などの足元経済指標が弱かったことを背景に、昨年12月と今年1月の追加利上げは見送られた。しかし、2006年10-12月期GDP速報値では、実質で前期比+1.2%増、年率換算で+4.8%となり、注目の個人消費は前期比+1.1%となり、前期の-1.1%(改定値)から 2四半期ぶりにプラスに転じたことから、消費の低迷も一時的との見方も強まった。ただし回復基調は極めて緩やかなものでもあった。

 12月と1月に利上げが見送られた背景としては、政策委員の内部でも、金利正常化に向けてフォワードルッキングを意識している委員と、経済指標を重視して慎重になっている足元ルッキング派の委員に分かれてしまったことがひとつの要因ともみられていた。15日の朝日新聞も「データ重視派と金利正常派に色分けされている」と報じていた。

 データ重視派の中においても、とりあえず足元データを見ることで慎重となっている委員と、経済データなどを見ながら景気認識の違いによって早期利上げに反対している委員とに別れているようであった。その一人が岩田副総裁とも見られていた。

 たとえば今後CPIが、原油価格下落の影響が出る2月か3月には、一時的にマイナスになる可能性もすでに指摘されている。それが一時的なものであるにせよ、利上げを急ぐ必要はないとの見方は、政策委員のみならずエコノミストなどにも多いことも確かである。

 しかし、日本経済が最悪期を脱して回復地合を強めていることも確かである。ここから再びデフレに戻るといったことも考えづらい。米国も住宅市場が懸念されているもののバーナンキ議長もソフトランディングへの期待を強めている。中国経済も引き続き拡大基調を続けるなど、日本の景気腰折れといったものの可能性は少ない。

 物価がなかなか上昇しないというのも、需要の低迷による要因などよりは、技術革新や普及度合いなどによるハイテク製品の価格下落などによる影響が大きいものとみられている。日銀はこのCPIについては「原油価格の動向などによっては目先ゼロ近傍で推移する可能性がある」としながらも、「長い目で消費者物価の動きを見通すと、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、今後も景気拡大が続くと考えられることから、基調として上昇していくと考えられる」としている

 すでに日銀はゼロ金利を解除したとは言え、まだ無担保コールの誘導目標値は0.25%に過ぎなかった。日本の超低金利が要因となっての円安などが欧州の金融関係者などから懸念されるなど低金利に伴う弊害といったものも指摘されていた。

 政府もデフレ脱却宣言をそれほど時間をかけずに行ってくるともみられ、そういった意味でも政府と日銀の景気物価への見方にはそれほど大きな隔たりはないはずである。しかし、政府関係者からはいまだ追加利上げに批判的な声もあり、そういったバイアスがマスコミなども通じて、日銀の金融政策への市場の見方を混乱させるなどの弊害も生じていた。

 日銀が追加利上げを決定したは、再び正常化路線に戻してきたとも言えよう。今後の追加利上げに関しても少し時間を置くとみられるが、少なくとも年内1回は実施してくるのではなかろうか。

 ただし、12月と1月の利上げ見送りによって日銀のフォワードルッキング重視の姿勢がやや揺らいでいるのではないかともみられていた。このため日銀に対しての信認といったものもあらためて再構築していく必要がある。今回の決定会合ではどのような議論が交わされていたのかもはっきり示し、結果として多数決で決められたことに対しての責任といったものも十分に説明していなければならない。
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by nihonkokusai | 2007-02-21 14:48 | 日銀 | Comments(0)
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