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「いったい何が」


 ここにきて日銀の金融政策を巡って、当の日銀や政府・与党の動きをメディアを通じて流されたものに市場関係者は右往左往となった。今回はことはいろいろな教訓も残したし、問題点も残したと思う。まだ新聞を全紙目を通したわけではないが、今回の日銀を巡る経緯に関する報道は「あれっ」と思うようなものが多かった。これは日経新聞もしかり。どれが正しいとか正しくないとかは、はっきり言って当事者でなければわからないだろうが、さすがにそれは違うだろうというものもあった。

 結局、昨日のTBSの報道は「誤報」として片付けられた。あってはならないことであり、それを認めたらたいへんな事態に陥る。しかし、流されていたのは事実であるし、TBSが嘘を報じたとしたらそれもマスコミとして問題である。この問題は結局「なかったこと」になるのであろうか。当然、新聞もこれを取り上げることは避けていた。

 先週は今回の主役ともみられる2人の総裁が外遊していた。福井総裁はスイスに10日まで出張していたし、安倍自民党総裁も15日に外遊から帰国していた。福井総裁は12日に支店長会議も控えており、11日に帰国後はまずはそちらの準備が優先されたものとみられる。このため12日の支店長会議までは、17日からの決定会合に関する調整をするには時間的に無理があったはずである。このため休日ながらも翌13日か14日あたりに、最終調整が入った可能性はスケジュールから見てありうる。その結果が15日に帰国し、16日の帰国後初閣議となった16日の朝までに、何らかのかたちで官邸に伝えられた可能性はあろう。あくまで昨日のTBSの報道が事実と仮定してだが。

 12日には日銀は利上げに向けて動きを見せたとも言われていた。このためにメディアも利上げ決定かと一斉に報じた。しかし、これはまだ最終的な調整の前の話ではなかったろうか。利上げ報道については総裁の意思が強く反映されていたと考えると納得もいく。これもあくまで想像ではあるが。

 16日の閣議後の官房長官や財務相などの発言は、首相の帰国後でもあり金融政策決定会合を前にしていたこと、さらに事前の中川発言などもあって注目されていた。記者の質問も当然日銀の金融政策に集中していたろうし、聞かれるほうも準備をしていたような感じであった。結局、それぞれの閣僚がほぼ同じようなことを口にしていた。議決延期請求権の行使はしない。日銀の独立性は尊重すると。

 この際の閣僚発言を聞いて、これで安倍政権も小泉政権同様に利上げなどやってほしくはないけれど日銀の独立性を考慮して、金融政策は日銀の専管事項としっかり確認したのかと実は勝手に安堵していた。ところが、もしTBSの報道が真実と仮定するならば、すでに日銀が利上げを見送ることを知っていた上での閣僚発言であった可能性もある。歴史に「もし」は許されないが、もし日銀の意思が伝わっていなかったら、むしろ利上げの可能性が強いことなどが伝わっていたら、この閣僚発言はいかなるものに変化したのか。あまり想像したくない気もする。

 それを避けたいがために、日銀は事前に打診を閣議の前に入れておいたというのもまた勝手な想像か。今回はたまたま別なチャンネルからふとした情報が出てしまったことで隠れていた別の真実が垣間見えたのかもしれないと想像した次第。
by nihonkokusai | 2007-01-19 14:18 | 日銀
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