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「見送り決定だが」


 日銀は金融政策決定会合において6対3の賛成多数で原稿の金融政策維持を決定した。利上げ見送り観測が強まっていたことで現状維持は予想通りとなるが、反対者は多くて2人ともみられていただけに意外感があった。そのためこれを受けて債券先物はその後下落した。この票決に関して、総裁・副総裁の執行部3人は票は分かれないことを前提とすれば、審議委員のうち3名が反対票を投じたこととなる。これは、もし総裁が利上げを議長提案した際には、賛成多数で利上げが実施されていた可能性も高かったことになる。さらに今回現状維持に賛成した審議委員3人の一部も、もし利上げが議長提案された際には賛成に回った可能性がある。

 このため、反対票が3となったということは次回の会合での追加利上げに向けての意思が示されたとも取れなくもない。しかし、実際に利上げが可能なのかどうか知る上で、少し気になる記事がTBSから出されていた。

 16日の9時近くにTBSがニュースにおいて「日銀が1月利上げ見送りの方向で最終調整」と伝え、その後各社も同様の報道があり、追加利上げ観測は急激に後退していた。このTBSが本日10時過ぎに「日銀は、今回の金融政策決定会合で、金利の引き上げを見送る見通しである、と今週初めまでに政府側に非公式に伝えていたことが、JNNの取材で明らかになりました。」と伝えていたのである。

 今回の追加利上げ見送りに関しては、私も昨日、この若き知にて「慎重になっている日銀の動向が政府サイドから漏れたのではないかとも考えられる」と書いた。これはあくまで個人的な推測ではあったが、それがこのTBSの報道で結果として裏付けられた。しかし、これが事実に近いものであったことがマスコミを通じて報じられたことは大きな問題点を含む。

 日銀の金融政策はあくまで金融政策決定会合で9人の政策委員が多数決によって決定されるものである。票決を待たずに「金利の引き上げを見送る見通し」を事前に政府側に伝えたということは、誰が金融政策を決定しているのかという大きな問題が生じる。もちろんこういったことをマスコミに流した政府側の人間にも問題はある。

 12月の利上げ見送りが決定されて以来、どうも日銀の動きが少しおかしいように感じていた。その点についても昨日の「若き知」を読んでいただきたいが、まるで昔にタイムスリップしたような印象すら受ける。もちろん今回の利上げ見送りは個人的にはそれで良かったとも思っている。ここはもう少し慎重に景気・物価がしっかり回復してくるのを確認してから動いても遅くはない。

 私個人のこのような感想はさておき、日銀の政策委員は各自、自らの判断を元にして金融政策を決定しなければならない義務を負っている。なぜ日銀という中央銀行の存在が必要とされたのか、なぜ日銀法が改正されたのかを再度考えてみる必要があろう。
by nihonkokusai | 2007-01-18 14:01 | 日銀
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