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「追加利上げ見送り観測」


 16日の9時近くにTBSがニュースにおいて「日銀が1月利上げ見送りの方向で最終調整」と伝えた。NHKも17日朝のニュースで「日銀、追加利上げ見送りの公算」と伝えられ、新聞でも日経新聞が「利上げ見送り論浮上」、産経新聞も「利上げ見送りも」との見出しが出ていた。産経新聞には昨日の塩崎恭久官房長官が定例会見で、「議決延期請求権を使う局面ではない」「(具体的な金融政策については)日銀の判断だ」と述べた尾身財務相の発言に対して「(尾身財務相の発言は)個人的意見」と指摘し、改めて日銀を牽制したとも伝えている。ちなみに塩崎官房長官は「(議決延期請求権については)再利上げ決まってからの話」、「日銀が利上げするとはまだ聞いていない」との発言もあったようである。

 今回の利上げ見送り観測については、日銀内部から発せられたものと言うよりも、政府関係者から発せられた可能性が高いようである。しかし、それでも18日における追加利上げは見送られる公算が高くなってきたと言わざるを得ない。

 12月の決定会合以降発表された経済指標は悪いものではなかった。とはいえ追加利上げを説得させられるほどのものではなかった。繰り返しになってしまうが、11月家計調査は予想を上回る-0.7%となり、これにより10-12月期のGDP統計上の実質民間消費は前期比プラスに回復する可能性が高いが、これも実際に2月に発表される数値を確認したいところである。

 1月の追加利上げが出来ないならば2月にGDPを見てから追加利上げを実施するのかとも見ていたが、どうやらそれも怪しくなってきた。今回の見送り観測が仮に政府サイドから出ていたとすれば、政府側が強く利上げに反対した結果との読みもあるかもしれないが、慎重になっている日銀の動向が政府サイドから漏れたのではないかとも考えられるためである。

 今朝の産経新聞でも「日銀内部にも早期利上げに対する慎重論が広がり始めている」とあるように、日銀の内部からブレーキがかかった可能性がある。個人消費の動向をもう少し見極めたいといったことや、13日に東京新聞が「新たな問題として浮上してきたのが消費者物価指数の先行きだ」と伝えたようにCPIの動向も影響しているのかもしれない。原油価格の下落などに伴い、もし一時的にせよ全国コアCPIが前年比マイナスになった際には、しっかりとした説明が日銀に求められるとともに、今回以上に与党などからの日銀批判などが高まる恐れもある。もし消費だけではなく物価を気にするとなれば、1月だけではなく2月以降も当面、利上げが見送られる公算も高くなるが、ここは慎重に事を構えた方が良いようにも思われる。

 しかし、気になるのが小泉政権下で量的緩和解除やゼロ金利解除が実施されながら、安倍政権に変ってから日銀が追加利上げの意思を見せながらもそれが見送られていることである。政権が変り日銀の裁量余地がやや狭められているのではないかというのは穿った見方であろうか。

 そして産経新聞は「日銀内部にも早期利上げに対する慎重論が広がり始めている」としていたが、この日銀内部とは政策委員のことを指しているのであろうか。確かに政策委員にも多少の温度差はあるとみられ、慎重な委員もいるとも聞いている。しかしそういった委員とともに日銀内部にも慎重論が強まっているのも確かなようである。金融政策は審議委員と総裁・副総裁の合計9名の政策委員による多数決で決定されている。むろん今回も同様であるが、日銀内部の慎重論が微妙にこの結果としての政策決定に影響を与えているのではないかとも感じられる。

 さらにそれに関連しているのかもしれないが、これまでぐいぐいと日銀を引っ張ってきた福井総裁の勢いも、ここにきて感じられなくなっていることも気になる。もちろん闇雲にフォワードルッキングで利上げを強行する必要はなく、経済物価動向を中心とした状況を見極める必要があるため、見送りも必要な選択肢である。ところが今回も事前に利上げに向けての報道が異常に盛り上がっていた。マスコミが勝手に騒いでいたとの見方もあるかもしれないが、憶測になってしまうがこの背景には福井総裁の意向といったものが多少なりとも働いていたのではなかろうか。しかし、それが結果として見送りになるということとなれば、総裁のこれまでの勢いがやや後退したとも受け取れることとなる。結果から見てそのように感じられるだけなのかもしれないが。

 もちろん18日に利上げが見送られず実施される可能性はまだ絶対ないとは言えないことも確かではある。以上のコメントは念の為、あくまで個人的な推測による感想であることにもご注意いただきたい。
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by nihonkokusai | 2007-01-17 14:48 | 日銀 | Comments(0)
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