牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

「議決延期請求権」


 グーグルで「議決延期請求権」を検索すると何故か「牛さん熊さんブログ」が上位にヒットした。その内容とは2005年11月16日にアップした以下の内容のものであった。

 「2000年8月11日の日銀金融政策決定会合において、大蔵省(現、財務省)および経済企画庁(現、内閣府)からの出席者から、「日本銀行法第19条第2項の規定に基づき、議長提出の金融市場調節方針の決定に関する件に係る政策委員会の議決を次回金融政策決定会合まで延期すること」との議案が提出された。」

 「ゼロ金利解除の際における議決延期請求権の行使である。この条項はドイツのブンデスバンクを参考に取り入れられたと言われたが、そのブンデスバンクですら一度も行使されることなくECBの設立とともにその条項は削られていた。それが日本で行使されるという異常な事態となったことを記憶している方も多いと思う。」

 そして、もうひとつ2006年2月26日の牛熊ブログの下記内容もヒットされた。

 「日経新聞や朝日新聞では26日の与謝野経財相のNHKの番組における発言などを受けて、政府内にも日銀の量的緩和解除に対してそれを容認する意見が広がってきたと伝えた。しかし、読売新聞ではさらに踏み込んで、日本銀行が3月に開く金融政策決定会合で、量的緩和策の解除が提案された場合でも、「議決延期請求権」を行使しない方針を固めたと伝えている。」

 2006年3月の量的緩和政策の解除と、最初の利上げともなった7月のゼロ金利解除の際に、政府は実際に「議決延期請求権」を行使していない。それどころか上記のように事前に行使しない方針を固めたことがマスコミを通じて伝えられていたのである。

 ところが、2月17日から18日の金融政策決定会合において追加利上げの可能性が高まったことで、小泉政権前にタイムスリップしたかのように自民党幹部から「議決延期請求権」の行使を示唆する発言や、日銀法改正といったコメントまで出てきているのである。

 中川昭一自民党政調会長は「政府には(日銀に議決延期を求める)請求権がある。それを前提に利上げの時期ではないと申し上げたい」とも指摘している。さらにテレビ朝日で大田経済財政担当相は「今は消費が弱くなっている。金利は日銀の専管事項だが、デフレ脱却の道筋をどう描くのか、説明責任を果たしてもらいたい」とコメントし、日銀の追加利上げを牽制した。

 中川秀直自民党幹事長は講演で「12月に利上げを見送っておきながら1月に利上げする合理的理由はない」、「日銀が異なる判断をするなら、政府は日銀法19条に基づく権利を行使する義務がある」として議決延期請求権の行使について言及し、さらに「日銀が再び議決延期請求権を否決するのであれば、重大な法制度の欠陥ととらえざるを得ない」して日銀法改正までちらつかせていたのである。

 2000年8月のゼロ金利解除のときの官房長官がこの中川秀直氏であり、副官房長官は現在の安倍首相であった。当時の政府と日銀との間で激しいやり取りがあったであろうことは想像に難くない。それにしても小泉政権時には封印されたかに見えた「議決延期請求権」がここにきて再び脚光を浴びることになるとは予想外のことでもあった。経済環境の違いもあるのかもしれないが、政権が変わり人事も一変されたことによる要因といったものも大きいのかもしれない。

 もうひとつ気になった記事もあった。東京新聞は13日の「18日利上げの公算」との記事の中で、「新たな問題として浮上してきたのが消費者物価指数の先行きだ」として、「ここへ来て原油価格が急落。それを反映してCPIが今後、マイナス圏内に落ち込む可能性すら出てきた」とし、「物価がマイナスになるかもしれないという時に、利上げをする理由を国民にきちんと説明できるのか」としている。実際に利上げに踏み切る場合には、日銀の「説明責任」が大きな焦点となりそうだとも指摘している。もし今回利上げが実施されたのち、春以降に仮にCPIが一時的にせよマイナスとなる可能性があるのならば、日銀はしっかり説明責任を果たす必要はあろう。

 2000年8月の議決延期請求権についての最終判断はのちの宮沢氏の発言などから当時の宮沢蔵相に託されていたようである。17日から18日にかけて政府側からは財務省と内閣府からそれぞれ代表者が出席する。もし「利上げ」が議長提案された際には、一時会合が中断され、それぞれの担当大臣である尾身財務大臣、大田経済担当相に「議決延期請求権」の行使について決断を仰ぐこととなる可能性は否定できない。現時点でそれを行使するかどうかまでは予想はつかないし、政府は2000年8月時のようにどちらかの大臣に決断を託すのかどうかもわからないが、議決を延期すべきかどうかを検討するという可能性はありうる。
[PR]
by nihonkokusai | 2007-01-15 13:43 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー