「平成19年度予算の財務省における説明会」
昨日、初めて財務省における予算の説明会に出席した。この日は主に学識経験者やシンクタンクなどのエコノミストなどを対象とした説明会であり、吉野直行慶應義塾大学教授、深尾光洋慶應義塾大学教授などのお姿を拝見した。
平成19年度の予算については、すでにマスコミなどでも詳しく報じられているが、新規公債の発行が抑えられ過去最大の4.5兆円の減額となっており、プライマリーバランスも大きく赤字幅が減少している。ただし、プライマリーバランスの赤字幅の縮小は、今年度の当初予算からは6.8兆円ではあるが、補正後の数字からみると4.2兆円となっているとともに、この縮小幅には大幅に税収増に加えて定率減税の廃止などで1兆1千億円の税収増となるなどやや特殊要因も働いている。このため、このペースで今後もプライマリーバランスが改善していくとは予測しにくいとの説明もあった。それでも今後もこの財政構造改革の方針を貫いていけば、2011年度よりも前倒しで黒字化される可能性はあるのではないかとも思う。
これはプライマリーバランスに直接影響するものではないが、地方交付税特別会計の借入金のうちの国の負担分を一般会計で返済する点についても興味深い。来年度から地方交付税特別会計の借入金のうち、約19兆円の国の負担分を一般会計で返済することとなり、2007年度の国債費はこの返済分を加えることで、+11.9%の20兆9988億円に膨らむ。配付された資料によると、詳しくは「交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金(国庫負担)の継承に伴う増(20773億円、うち債務償還費17322億円)」となる。この分は一般歳出が今年度比3兆2228億円増の46兆9784億円と、 3年ぶりに前年度当初予算を上回ったことのひとつの要因ともなっている。
これについては12月17日の毎日新聞が次のように報じている。「地方交付税交付金を管理する交付税特会は、バブル崩壊後の税収減で、地方の歳出を賄うだけの交付税額を確保できず、1994年度以降、民間などからの借り入れで穴埋めしていた。景気回復による税収増を借金減らしに充てる方針を明確にするため、一般会計での処理に踏み切る。」
すでに交付税特会の債務残高は2006年度末で約53兆円に達する見通しとなっているようである。このうち国が約19兆円の返済義務を負っている。今年度までは返済を先送りしていたが、来年度から一般会計に借金を継承し返済を先送りしない姿勢を示すものとみられる。気になったのが毎年度ごとの返済額だが、現在のところ今後については未定と毎日は報じているが、30年間で均等償還されるのではないともみられている。ちなみに交付税特会の既存の特会借入における地方負担分についても今年度度補正予算で約5千億円、平成19年度年度当初予算で約6千億円を償還する予定だとか。
今後の交付税特会の債務の国の負担分の返済動向などを含めて、質問させていただこうと思っていたのだが、何せ初めて参加し、なんといっても自分の勉強不足もあり結局、質問はできなかった。しかし、末席に参加させていただき説明を受けただけでもたいへん勉強になった。厚い資料も頂戴し、国に財政についてさらに勉強したい。とりあえず今回の説明会でのお話を聞いて、当分の間は「日本国債は危なくない」だろうことは確信した。