牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

「PTS」


 日経新聞によると、米の有力投資銀行7社(ゴールドマン・サックス、シティグループ、モルガン・スタンレー、クレディ・スイス、ドイツ銀行、メリルリンチ、UBS)は2007年後半に独自の欧州株の取引市場を設立すると発表したそうである。取引所への売買集中義務が緩和されるのをにらみ、低コストの取引市場を目指すとされる。参加する7社合わせて欧州株取引全体のほぼ5割を取り次いでいるそうで、証券取引所の経営にも大きな影響が出てくる可能性がある。取引の形態としては、コンピューターネットワーク上で売買を成立させる私設取引システム(PTS)になる見通しのようで、欧州株全般を取引対象にするとか。

 このPTSとは「私設取引システム」(proprietary trading system)の略称。民間の証券会社が開設したコンピューターネットワーク上で市場を形成して取引を行うことである。米国では電子証券取引ネットワークと呼ばれるPTSが、ナスダック市場取引高の3割から4割を占める状態になっているとか。

 日本では債券市場などですでに導入されているが、株式市場でも夜間取引において、この私設取引システム(PTS)による競売買(オークション)方式を利用した取引も開始されている。1998年施行の金融システム改革法で、証券取引所以外での取引を禁じた「取引所集中義務」が撤廃され、これによって証券会社は投資家と1対1の相対で売買したり、金融庁の認可が得られれば、ネットで結んだこの私設取引システム(PTS)で売買の仲介をしたりすることができるようになった。ただし取引量に上限があり、株価情報などの即時公表が義務付けられるなどの制約はあるが、取り扱い銘柄を他の取引所の上場銘柄に限定していることもあって上場審査機能などは不要とされている。

 さらに2005年の証券取引法の一部改正により、私設取引システム(PTS)における競売買(オークション)方式の取引が認められ、この方式では、取引所と同様に、投資家からの様々な売買注文を付け合わせて取引を成立させることができる。これにより売りと買いの需給バランスの変化に応じて株価が変動する、まさに現在の取引所における取引に近いものが可能となっている。

 取引所もグローバルな再編の動きを強めており、ユーロネクストは米NYSEと来年に経営統合を予定していおり、東証はそのNYSEグループとの資本・業務提携を模索している。今回の動きは欧州の取引所の巨大化による手数料の高止まりを懸念しての、有力投資銀行7社による新市場構想とみられる。これまで取引所のライバルは他の取引所であったのが、取引所への売買集中義務が緩和されることで、今度は生き残りをかけてライバルであった取引所同士が提携し合う動きも続いている。シカゴのCBOTとCMEの合併の発表などはある意味象徴的な出来事でもあった。

 国内債券市場は現物はその多くを店頭市場が占めている。さらに現物のPTSも稼動しているが、相場の動向を知る上では東京証券取引所の債券先物取引が大きな役割を占めていることも確かなため、こういった取引所の動きについても注意が必要となろう。
[PR]
by nihonkokusai | 2006-11-16 10:53 | 投資 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー