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「イノベーションに関する日銀総裁発言」


 10月13日に開かれた経済財政諮問会議でにおいて福井俊彦日銀総裁が、「イノベーションを進めると、所得差が縮まるという幻想を与えない方がいい」と発言していた。

 これに対して、自民党中川秀直幹事長は自らの公式サイトで、「経済財政諮問会議では、実質成長率を引き上げることと格差の問題について、管轄外の日銀側から忌憚のない意見が出た。」さらに「経済成長は格差是正と無関係なのだろうか。党務を預かる私と意見が異なるのは構わない。しかし、安倍首相との意見の相違があるのか、ないのか」となかなか手厳しいコメントもあった。

 もともと中川氏は、日銀の金融政策に対して反対し続けてきた竹中前総務相と意見が近いということで、こういった意見が出てもおかしくはない。それでも、現在は自民党の幹事長という立場だけに、このコメントによっていろいろと憶測も呼んだものとみられる。

 しかし、イノベーションを軸とした経済成長を目指すというならば、福井総裁の発言内容の方が正論である。第一回の会合ということで、民間議員や閣僚からは経済運営の看板である成長戦略に積極姿勢を示す発言が相次いでいたことは、それなりの意気込みを見せようとしていたのかもしれない。しかし、それに対して唯一前回からのメンバーでもあった福井氏が注意を促したともいえる。「成長なくして未来なしというフレーズが、一般の国民の皆さんにちょっと耳ざわりがよすぎないか。」との福井総裁の発言の中で「耳ざわり」という表現は当初原稿にはなかったそうである。これが安倍批判に当たるとは思えないが、良い部分だけを見ずにもう少し現実を直視すべきということであろう。

 「イノベーションを身に着けた人と、なかなかつけられない人の所得の格差はむしろさらに広がる。差は縮まるという幻想を余り容易に与えないほうがいいのではないか」

 経済成長をイノベーションによって促すというのならば、それは格差是正ではなく、いったんは格差の広がりに通じる。しかし日本経済全体のパイを大きくすることに繋がれば、体感的な格差は薄まる。

 「これからは低い潜在成長能力を上げながら、かつ現実の成長を実現していくという、いわばツーステップアプローチになっているところが基本的に違うと思う」日本の景気や物価の先行きに慎重な政府に対して、追加利上げも模索している日銀ではあるが、こと将来の経済成長の行方についてはある意味、慎重な見方の福井日銀総裁に対して、政府関係者や他の経済財政諮問会議メンバーはやや楽観的な見方をしているようにも思える。
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by nihonkokusai | 2006-11-08 10:32 | 日銀 | Comments(0)
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