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「格差社会」


 安倍政権下で初めての経済諮問会議の席上、メンバーの一人、福井日銀総裁は「イノベーション(技術革新)を身につけた人と、つけない人の格差は広がることを覚悟しないといけない。差が縮まるという幻想を与えないほうがよい」と発言したことを19日の日経新聞が伝えている。

 安倍首相は良く「再チャレンジ」という言葉を使う。実際に「再チャレンジ推進会議」なるものも設けられている。小泉政権下が勧められた構造改革やそれにともなっての市場化といったものによって格差が広がっていくことは避けられない。たとえ改革をせずとも、これまでリスクを負っていた国や銀行、そして民間企業がそのリスクを個人に転嫁しつつある。国の莫大な債務によって公共事業といったものは抑えられ、社会福祉についても積極的には財政を傾けられない状況となっている。さらに不良債権処理などによって金融機関も体力を消耗した上、護送船団方式というセーフティーガードも消滅し、間接金融から直接金融といった流れも加速している。「貯蓄から投資へ」とは国や金融機関が負っていたリスクを直接個人に負わせるといった意味ももつ。

 こういったリスクが広がることに対処するには、まずはチャンスを広げていく必要がある。そのためが規制緩和などを含めての構造改革が必要とされる所以である。そこにはどうしても格差の広がりは避けられない。国が構造改革を行っているから格差が広がるというよりも、日本の社会経済構造の変化によって格差が広がってしまうことは避けられず、だからこそ構造改革が必要とされ、チャンスの場を広げていかなければならない。

 この構造変化により、いったん会社に入ってしまえばそのまま定年までの人生設計が成り立った時代が過去のものとなる。このため個人の技量に応じて収入が決まるといった時代に変化している。福井総裁のイノベーションとは、この個人の技量といったものを示しているのではないかと思われる。

 そして、こういった避けられない格差社会において必要とされるのが、再度チャレンジできるといった社会である。これは以前、現在キャスターもされている村尾さんの勉強会でも大いに議論されていたことでもあった。宣伝ともなってしまうがその議論のいったんは私も執筆者の一人として参加している 『日本を変えるプランB』(村尾信尚・責任編集、関西学院大学出版会)にも入っている。重版もされており、ご興味のある方はぜひ書店にて手にとっていただきたい。再チャレンジできる機能は今後ますます必要となる。

 ただし、その前に格差社会に立ち向かうには、なにかしらのイノベーションをつける努力が必要となるのも言うまでもない。
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by nihonkokusai | 2006-10-20 10:28 | 国債 | Comments(0)
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