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「年内利上げの可能性に含みを持たせた武藤副総裁会見」


 武藤副総裁の講演の内容はどちらかといえば中立的でオーソドックスなものであったが、その後の記者会見におけるコメントは市場の思惑を修正すべくやや踏み込んだかたちのものとなった。CPI基準の改定に加えて、その後の鉱工業や機械受注といったこれまでそれほど反応してこなかった経済指標にも過剰反応して、長期金利は1.6%近くまで一時低下していた。市場の追加利上げの時期を巡る思惑もかなり後ずれし、少なくとも年内の追加利上げ観測は急速に後退していた。

 こういったマーケットのマインドを察してか、武藤副総裁は講演ではなく会見においてそういった見方を牽制するような発言を行ったようにもみられる。

 「クリスマス商戦を見極めないと判断できないかどうかについては、米国の消費動向を占ううえで重要なものと理解しているが、それの見極めがないと、政策展開ができないという考え方を採っているわけではない。」(ロイター)

 米国の年末商戦や、移動電話通信料などの指数算出方法が変更されたことによるCPI修正分が剥落する11月のCPIを確認した上で、早くとも来年1月以降に追加利上げが実施されるとの観測が市場内では強まっていたとみられるが、そういった観測に対して年内の可能性がないわけではないことを示唆したものとも受け取れる。

 これまで福井総裁の発言にもあったように「利上げ、政策変更は、物価が重要なひとつのデータだが、物価だけで判断するわけではない。その他の経済情勢を総合的に判断する。」とも昨日の武藤副総裁も発言している。

 米クリスマス商戦に関しての武藤副総裁の発言は、「米クリスマス商戦と11 月のCPI を見極めないと追加利上げはできないか」という時期を特定する記者からの質問に答えたものであったようで、このような答え方になったものとみられる。この質問に対して、もし「そういったものも確かめながら予断を持たずに」と言った答え方をすれば年内利上げなしとも捉えかねないことも確かである。

 「日銀の基本的なスタンスは、繰り返し言っている通り、予断を持っていない。今後、事態の変化、次々出てくる経済・物価関係の指標を見て判断していくわけだが、そういうデータが一つ一つ現実のものになれば、市場もそれを織り込んで、自律的な判断をされる可能性が十分ある。」

 いろいろなリスク要因もあるが、たとえば米経済に対しても「宅産業が全てではない。その他の指標を見ると、住宅を除くと好調なものが多い」といったように比較的、米景気の見通しに対して日銀はそれほど悲観的にはなっていない。今後も経済の拡大基調に変化なく、物価も上昇するとの見込んでいるともみられ、それを指標が裏付けてくれば自ずと追加利上げ時期について、市場は判断してくるであろうとの見方と思われる。

 「今すぐ、市場に対して、何か政策展開をしたら、ショックを生じるという状況だとは思っていない。今後の展開次第によっては、そういう可能性がないわけではないが、今後の展開が一つの大きな流れを作っていくのではないか。」

 今後の展開がひとつの大きな流れを作っていくとのことであるが、これから出てくる経済指標やそれとともに月末にも発表される日銀の展望レポートの内容などを確認しながら、日銀は次の利上げ時期を探っていくものとみられる。さすがに今月中の利上げはなさそうだが、12月までの可能性は武藤副総裁の会見内容からもありうると考えている。
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by nihonkokusai | 2006-10-06 13:12 | 日銀 | Comments(0)
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