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「公定歩合の位置付け」


 7月21日の読売国際経済懇話会における武藤副総裁講演要旨は、7月14日のゼロ金利解除後の日銀の動向を占う上でも注目されたが、その中であらためて公定歩合の位置づけについてコメントがあった。今後の金融政策とは直接的な関連性はないとは言え、日銀はやはり「公定歩合」という言葉を封印することが明らかとなった。下記は武藤副総裁の講演要旨の中での「公定歩合の位置付け」に関する内容である。

 『まず、公定歩合の位置付けから、述べたいと思います。日本銀行が金融機関に直接資金を貸し出す時の基準金利を「公定歩合」と言います。「公定歩合」という言葉は、日本銀行に関連する用語の中でも、とりわけ認知度の高い言葉だと思います。しかし、実は、この言葉は、法律に規定されているものではありません。日本銀行法に規定されている「基準となるべき割引率(基準割引率)」と「基準となるべき貸付利率(基準貸付利率)」のことを、「公定歩合」と呼んでいます。従来は、「商業手形割引率ならびに国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利率」と「その他のものを担保とする貸付利率」の2区分があり、各々について率が定められていましたが、これらは、2001年に「基準割引率および基準貸付利率」として一本化されました。』

 公定歩合は言葉としての認知度は高いながらも、あらためて「法律に規定されているものではありません」とあらためてコメントしており、それを封印したとしても支障がないことを示している。

 『公定歩合は、規制金利時代には、金融政策の基本的なスタンスを示す代表的な政策金利でした。これは、かつては、各種の金利が公定歩合に連動しており、公定歩合の変更が直接、貸出金利や預金金利を動かしていたからです。公定歩合の変更は、金融政策の基本的な姿勢の変更を示すものとして、いわゆる「アナウンスメント効果」を有すると考えられてきました。しかし、1994年に金利自由化が完了し、公定歩合と預金金利との制度的な連動性はなくなりました。現在は、こうした連動関係に代わって、先ほど述べたように、あらゆる金利が金融市場における裁定行動によって決まっており、公定歩合は、2001年に導入された補完貸付制度──予め明確に定めた条件に基づき、日本銀行が貸付先からの借入れ申込みを受けて受動的に実行する貸付制度──のもとで、補完貸付の適用金利として、オーバーナイトのコールレートの上限を画する役割を担うようになっています。現在の政策金利は、あくまで無担保コールレート(オーバーナイト物)であり、公定歩合には政策金利としての意味合いはありません。そうした意味で、今後は、かつては政策金利としての意味合いの強かった「公定歩合」という用語を使わず、「基準貸付利率」ないし「補完貸付の適用金利」という用語を使っていくことが適当であると考えています。』

 公定歩合には政策金利としての意味合いはないことを改めて強調し、政策金利としての意味合いの強かった「公定歩合」という用語を使わないことを改めて明言した。7月14日のゼロ金利解除の際に、補完貸付の適用金利の引き上げ幅は予想された0.5%ではなく、3名の反対者(日経新聞によると須田、水野、そして野田の3審議委員)により賛成多数で0.4%に抑えられたことも、今回の公定歩合という用語の封印との関係もありそうである。
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by nihonkokusai | 2006-07-24 14:04 | 日銀 | Comments(0)
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