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「S&Pは日本のアウトルックを安定的からポジティブに変更」

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 米格付け会社のS&Pは日本の長期ソブリンに対する格付けに対するアウトルックを「安定的」から「ポジティブ」に変更すると発表した。2004年 3月にS&Pは日本のアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した以来のものとなる。長期、短期格付けはそれぞれ「ダブルAマイナス」、「A-1プラス」に据え置いた。

 このアウトルックの変更理由は、日本の経済構造が強化され財政面の改善が見込まれるためとか。S&Pは「(日本の)デフレ圧力の低下を受けて内需が回復し始めており、経済成長率は中期的に、2004年までの10年間の平均成長率である1.1%を超えるペースで推移する可能性が高い」としており、この高い経済成長によって、政府の財政負担の軽減につながるとしている。また、「日本政府は潤沢な対外流動性を維持するとともに、世界の資本市場から機動的に資金調達を行うことが可能となっている」とも指摘しているが、これは特に最近になって顕著になったものでもないと思うが。

 さらに「日本の金融システムの回復ペースはこれまで緩慢だったものの、企業のリストラの進展を反映して、銀行の不良債権は急減している。」とも指摘。たしかに銀行の不良債権は減少し、公的資金に関しても三菱UFJフィナンシャル・グループとみずほフィナンシャルグループはそれぞれ6月中にも完済する方針を固めたとの報道もあったばかり。金融システム不安はかなり後退しているのもたしかではある。

 ただし、「巨額の財政赤字や政府債務残高、予想される金利上昇の影響に関する不透明感、9月の自民党総裁選の行方が格付けの制約要因となっている。」としているが、そもそも日本国債の格下げの大きな要因は巨額の財政赤字や政府債務残高そのものであったような気もするが。予想される金利上昇も経済実態に即したものとなればそれほどの問題とはないないはず。もちろん国債費の増加といった要因もあるが。「9月の自民党総裁選の行方」については小泉構造改革路線が継続しないというリスクを指摘しているとも思われるが、改革の流れに逆行することはすでに国民が許さないはずである。

 「日本政府が政府債務を抑制できるか否かは、2006年6月後半に発表される中期財政再建計画を着実に実行できるかにかかっている。しかし、金利動向が政府の資金調達コストに及ぼす影響については依然として不透明だ。ゼロ金利政策が解除されれば、政府の金利負担は上昇し、財政再建の道は一段と険しくなる。」

 中期財政再建計画を着実に実行することは必要条件であろうが、「ゼロ金利政策が解除されれば、政府の金利負担は上昇し、財政再建の道は一段と険しくなる」との見方には賛成できない。経済実態に即した金利の上昇は健全な経済にとってはむしろ必要なものと思われる。

 財政再建ができないからゼロ金利は解除すべきでないと受け取れる文章にも見える。しかし、財政再建にはもっと本格的なメスを入れることで金利負担の上昇分といったものを削減することも容易となるはず。金融政策に頼る前にやるべきことをやるのが政府の仕事であることを強調すべきではなかろうか。
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by nihonkokusai | 2006-05-23 16:19 | 国債 | Comments(0)
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