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「ノーロード投信」

「投資信託と個人向け国債がよ~くわかる本」 発売中です。よろしくお願いいたします。

 購入時の手数料を無料とした「ノーロード」投資信託の販売がさらに拡大しているようである(5月18日日経)。拙著 「投資信託と個人向け国債がよ~くわかる本」にても解説したが、ネット証券などを中心にノーロード投信の動きが広がりはじめており、本の中でも投資信託購入の際には少しでも負担を減らすために、ノーロードでの投資信託の購入を勧めている。ただし、もうひとつの手数料である信託報酬との兼ね合いという部分もあり、販売手数料がゼロでも、その分信託報酬が高くなれば、保有すればするほど費用負担が大きくなってしまうため注意も必要となる。

 同じ投資信託でも販売手数料を取るところと取らないところも出ており、その際には当然取られないほうを選択すべきである。販売手数料が無料で、なおかつ信託報酬が1%近辺と低く抑えられているものであればそれも投資家の負担は少なくなる。

 この投資信託の販売手数料というものに対しては、本来必要なものであるのかと疑問に思っていた。昔の証券会社の投資信託販売はまさにこの販売手数料稼ぎといった意味合いが強かった。手数料としては信託報酬もあるが、販売する営業マンの手数料実績のためには株の売買手数料とこの投資信託での販売手数料を稼ぐ必要があった。また本社株式部にとっては、投資信託に絡んだ株式の委託発注にともなう売買手数料を手にすることが当時はできたため投信販売を積極化していたのである。

 投資信託の手数料を購入者から取るシステムとなっていたこと自体に問題があると思う。たとえば、個人向け国債の手数料は投資家ではなく国から100円につき50銭販売会社に支払われている。洋服とか食料品とかを我々が買い付ける際には、販売店はそれなりの手数料相当分を価格に上乗せして販売している。その意味ではそれは消費者負担となっている。しかし、洋服とか食料品とかの商品は、販売する際に得た利益のみが残るだけであり、投資信託の信託報酬といったものはない。

 しかし、投資信託は信託報酬という別途手数料があり、そもそも販売よりもこちらが重視されるべきものである。投資信託会社の運用のための費用や報酬などは信託報酬の中から得ている。販売手数料は言うなれば促販のために証券会社など販売会社のための別途手数料とも考えられる。それがなぜか買い付けている投資家本人から得ている。それが当たり前のようにこれまで行われており、それはおいしいとばかりに銀行や郵便局もその販売に積極的に参入しているといえなくもない。

 貯蓄から投資への流れの中で、個人の投資参入の入り口に位置する投資信託であることを考えれば、こういった手数料は本来廃止すべきものである。投資信託の魅力をパフォーマンスなど実績で示して残高を増やし、その見返りとして残高に応じた信託報酬を多く得られるように努力すべきものであるはずである。

 米国ではすでに全体の6割強がノーロード投信となっているようであるが、日本も今後は出来る限り信託報酬に上乗せしないかたちでのノーロード投信を増やす必要がある。投資信託の魅力を増すことをまず意識して、その全体の残高を向上させる努力をすることで、投資家に無理な負担を強いることなく、販売会社も含めて利益も得ることも可能になる。

 日経の記事では、販売手数料は「商品説明に対する対価」とのコメントがあったが、投資信託の説明は、その投資信託をあくまで買ってもらうためのものであろうし、そのようなものに手数料が必要とは思われない。さらに投資信託を販売する際に販売担当者がそのリスクなどを説明するのは手数料を貰ってするべきものではなく、それは販売者としての当然の義務でもあろう。
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by nihonkokusai | 2006-05-18 10:17 | 投資 | Comments(0)
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