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「早期のゼロ金利解除観測と福井総裁」

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 日銀の福井総裁は参院財政金融委員会において「今の市場の動き、想定外とは思っていない」としながらも、「混乱なく流動性吸収しても直ちにゼロ金利脱するとは限らず」、「足元の変動金利のかなりの部分はボラティリティ、市場は先行き読めていない」、「今の市場金利形成でゼロ金利脱却が早まったとみるのは極めてうがった見方」と発言し、市場における6月にもとの早期のゼロ金利解除説について否定的なコメントを行った。

 日銀の当座預金残高の減少は順調に進んでおり、5月末にも10兆円程度にまで削減される見通しとなっている。この日銀当座預金残高の削減に関しては「準備預金制度に基づく所要準備額の水準にほど近いところまで下げていく。つまり6-7兆円というところへ下げているプロセスを今進めている」と福井総裁は発言したことで、最終的には6~7兆円と所要近くに引き下げることをあらためて示した。

 6月の日銀金融政策決定会合は14、15日に予定されている。6-7兆円までの引け下げを考えればぎりぎりのところともなり、また積み最終日にもあたるなど、確かにカレンダー上もやりづらい側面もある。もちろん、福井俊彦総裁が15日午後の講演において「当座預金残高の削減を終えることと、ゼロ金利脱却とは全く別の問題」との考えを改めて強調したように、すでに量から金利へと政策目標が変更されている以上は、当預残とゼロ金利解除は別の次元の問題とはなろうが、実際にはある程度、当座預金残高が引き下げられるまでは利上げもむずかしい。このため、上記の総裁発言についても早期解除を牽制と受け止められている。

 先に行われた7カ国財務相・中央銀行総裁会議においても為替動向についてかなり協議が行われていたと思われるが、ここにきての為替の動き、特にドルの下落などにかなり神経質になっていることも確かである。福井総裁も為替相場を形成する要因として、内外の実質金利差、各国の累積経常収支などを指摘しているが、米利上げ打ち止めと日銀のゼロ金利解除の思惑は、金利差により円高ドル売りに働きやすく、円高進行が株安要因ともなりうる。このためゼロ金利解除に関して、総裁もかなり慎重な姿勢を示したのではないかとみられる。先日の米有力レポートによる6月のゼロ金利解除に対する否定記事なども何かしらこういった日銀の動きを察してのものではないかとの見方もあった。

 量的緩和解除観測が強まった際には竹中大臣などを中心に反対の声も強まった。しかし、ゼロ金利解除に関しては政府関係者からのコメントは谷垣財務大臣以外からは、あまり反対意見らしきものも出ていない。総裁を含めて日銀関係者も早期解除にはむしろかなり慎重といった見方もみられる。量的緩和解除とは異なり、ここはまだ急ぐ必要はないとの認識なのか、政府のデフレ脱却宣言の時期といったものも微妙に影響しているのか、自民党総裁選の行方といった不透明要因も気になるのか。もちろん金融政策は物価や経済情勢を見極めながら行われるものではあるが。ここは市場も「予断」を持たずにじっと日銀の様子を窺っていたほうが良さそうである。
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by nihonkokusai | 2006-05-16 16:41 | 日銀 | Comments(0)
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