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「10年国債の利率2.0%の意味」

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 5月9日に入札された10年国債の利率は209回以来の2.0%に引き上げられた。1.9%の可能性もあったが、入札前日8日には、この入札を控えて売り圧力が強まっていたことで、入札する業者も1.9%では投資家ニーズがあまり見込まれないとの見方を強めていたものとみられる。結果として投資家ニーズといったものが意識された2.0%クーポンだが、実際にはそれ以上大きな意味をもつものであると考えられる。

 前回2.0%の利率で発行されたのが1999年1月7日の209回債である。債券市場の関係者にとって、この時期はまさに記憶に残る時期でもあった。1998年末に当時の大蔵省資金運用部ショックにともなう国債の急落が、その後の国債を主体とする債券市場の流れを大きく変えるとともに、日銀の金融政策に大きな影響を与えていたのである。

 この運用部ショックに伴う国債急落によって、結果として国債管理政策が急速に進むとともに、日銀はこれまで実施したことのないゼロ金利政策を実施したのである。これは米国財務省などによる圧力といった見方もあったが、とにかく日銀は動かざるを得なかった。

 日銀はその後、債券急落に伴う一時的な緊急対策といった意味合いの強かったゼロ金利政策を解除したところ、ITバブルの崩壊やデフレ圧力の強まりなどにより再びゼロ金利に戻らざるを得なくなったとともに、異常とも言える手段であった量的緩和政策をも導入せざるを得なくなった。その結果、長期金利はそれ以降、低位安定が続くことになる。

 しかし、景気回復の強まりとデフレ圧力の解消により、今年3月に日銀は量的緩和政策を解除した。そしてまもなくゼロ金利解除も視野に入れつつある中での10年国債の2.0%クーポンは大きな意味を持つ。ここから先には、今後は新たな金利の上昇局面を迎えることとなるとみられるためである。これまでの異常ともいえる長期金利の低位安定局面から、正常な長期金利の動きに戻ると言えるのではなかろうか。

 10年国債の利率が2%を下回ったのが1998年1月に入札された201回からであった。それから8年もの間、ほぼ2%以下のクーポンに慣らされてしまっていたため、2%台、ましてや3%台のクーポンといったものが、異常のように見えてしまうのかもしれない。しかし、金融システム不安も解消され、デフレという異常事態も回避しつつあり、景気は長期に渡っての回復基調を続けている状況下、金利も正常化するとなれば2.0%以上の長期金利もなんら不思議なことではない。
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by nihonkokusai | 2006-05-09 14:42 | 国債 | Comments(0)
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