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日銀による総括的な検証の目的のひとつは長期金利の上昇か

 8月下旬あたりから債券市場はやや異変が起きていた。債券先物や10年債利回りなどが比較的しっかりしていたにも関わらず、超長期債が毎日のように売られていたのである。

 なぜ日本の超長期債が大きく売られていたのか。これはFRBの早期利上げ観測や為替の動きとかとはそれほど関連性はないと思われる。もしそれで動くとすれば、債券先物あたりの方が敏感に動いておかしくはない。とにかく超長期債が本来であれば、国内投資家の買いが入ってもおかしくはない月末月初にも関わらず売られていたのは何故なのか。

 そのひとつの理由とされたのが日銀の総括的な検証であった。量の部分ではレンジを設けるなどして柔軟性を持たせるとともに、買い入れる年限の国債を少し短期化するのではないかとの思惑が出ていたようである。

 ただし、日銀の総括の中身についてはジャクソンホールの黒田総裁の講演などからは、その内容のヒントはなかなか見いだせなかった。先日の布野審議委員の講演でもそうである。しかし、突然のように出てきた2日の櫻井真審議委員のロイターの単独インタビューは、どうやらそれを示唆する内容ではないかと思われる。

 そもそも櫻井氏は今年4月に日銀審議委員に就任したばかりで、メディアのインタビューに応じるのは今回が初めてだそうである。その櫻井委員から出たコメントが意外なものであったのである。

 櫻井委員はインタビューで、現行のマネタリーベース目標を含めた量・質・金利の3つの次元による金融緩和政策に限界はないと述べていた。これは黒田総裁や布野委員も同様の発言をしており、これが前提とはなる。

 これに加えて櫻井委員はこんな発言をしていた。

「イールドカーブの形状をどう変えていくかも、可能性としては政策の選択肢に入る。検証作業の中でいろいろな議論が出てくるだろう。イールドカーブが予想を超えて下がったのは事実である。それによって効果はあったが、いろいろなコストも出てきた。それも踏まえて今後の政策の組み合わせを考えていきたい」(ロイター)

 たしかに日銀は特にマイナス金利政策の導入により、予想以上に国債利回りが低下していたことは認めており、これはむしろ成果のひとつとしていた。ところが、これはむしろ行き過ぎであり、これを検証するとともに、利回り曲線の形状を変化させる、つまりこの場合は一部の国債利回りを引き上げることが総括により出てきた解答のひとつと見る事ができるのではなかろうか。

 櫻井委員の略歴はいろいろと問題となっていたが、少なくとも債券村の住人ではない。金利に関してどれだけの専門性を持っているのは未知数ながら、今回の発言はそのタイミングからみても櫻井委員の独自の見解とは思えない。むしろこれまでほとんど発言をしておらず、市場からみてもいろいろと未知数の審議委員を通じて、検証を行っている人達の意見を表面化させたとの見方もできるのではなかろうか。「それも踏まえて今後の政策の組み合わせを考えていきたい」とは検証をしている人からの発言にしか思えないのだが。

 そうなるといろいろと整合性がとれる。なぜここにきて超長期の金利が上昇したのか。それはこの日銀の意図がそれとなく市場に伝わっていたからとの見方もできよう。さらにそれではなぜ日銀が長い金利を上昇させたいのか。正確には低下し過ぎた金利を修正したいのか、その目的も自ずと浮かび上がる。

 日銀のマイナス金利政策で不評となっていたのは何か。ひとつは利ざやの縮小による金融機関への収益への悪影響である。これを解消する手っ取り早い手段はイールドカーブのスティープ化となる。つまり超長期の金利を上げることである程度解消される可能性がある。

 足元の金利、つまり短いところののマイナス化についてはそのまま放置するか、もしくはいろいろとセーフティーネットをつけた上でのマイナスの深掘りをすることでイールドをさらに立たせることも想定しているのかもしれない。

 さらに国債利回りのマイナスにより資産運用に大きな支障が出ていた。MMFの償還などがその大きな事例となっていたが、それも多少なり解消させることも意図していている可能性がある。少なくとも10年債利回りあたりがプラスに転じれば、多少なりそれは緩和されることも予想される。

 どうやら日銀は総括的な検証り結果を踏まえ、国債利回りのスティープニングを目論んでおり、それを察して超長期国債を中心に利回りが上昇してきたと結論づけることはできまいか。10年債利回りのプラス化も時間の問題なのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2016-09-02 17:03 | 日銀 | Comments(0)
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