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個人向け国債の売れ行きに変化

 財務省のサイトの個人向け国債のコーナーには、個人向け国債の解説とともに発行額推移がエクセルファイルでアップされている。ここには3月発行分までの個人向け国債の発行額が年限別に確認することができる。

 ここで念のため個人向け国債について確認しておきたい。個人向け国債とは個人でしか買うことのできない国債であり、入札による主に機関投資家向けに発行される国債とは別物である。またその入札で発行された国債を2年、5年、10年債を個人向けとして販売しているのが新型窓口販売方式による国債であり、これは個人向けの国債ではあるが個人向け国債と称される国債とは別なものである。

 新型窓口販売方式による国債は元々が通常売買されている国債と同じものであり、取引最低単位が5万円となっていることに加え、下限金利などが設けられていない。このため、期間10年までの国債利回りがマイナスとなってしまっていることから、現在すべての新型窓口販売方式による国債の募集は中止されている。

 これに対し個人向け国債は最低売買単位が1万円単位となっているだけでなく、すべて発行から1年経過すれば途中換金が可能という形式になっている。途中換金の際には一定期間の利子相当額が差し引かれるが、元本で政府が買い取ってくれる。つまり国債の価格変動リスクと流動性リスクがないという極めて特殊な債券となっている。この利点がある代わりに1年間は途中換金ができず、通常の国債に比較して金利が低く抑えられている。ただし、それぞれ年率0.05%の最低金利保証が設定されている。

 金利がマイナスとなる異常事態となり、預貯金金利も0.001%あたりに抑えられ、新型窓口販売方式による国債の募集は中止され、個人向け国債の利率は0.05%の最低保証利率に張り付くことになったが、この0.05%でも安全資産のなかでは高金利に見える状況となっている。

 このため3月の個人向け国債の販売額が伸びた。特に固定3年が2月の153億円から3月は365億円に、固定5年が2月の123億円が3月は311億円と倍以上の伸びとなった。これに対して10年変動は増加はしたものの、2月の1490億円から1659億円の伸びに止まっている。

 個人は金利の変動に非常に敏感であるが、マイナス金利となっている状況下、少しでも利率の高いものに飛びつきたい気持ちもわかるが、その反対側にリスクが存在することにも注意が必要である。マイナス金利が決して正常な状況ではない以上は、そのリスクについても十分配慮する必要がある。

 だからこそ個人向け国債も保有期間のリスクが意識されてか期間の短いものが買われたのかもしれないが、こと個人向け国債については価格変動リスクと流動性リスクが存在していない点をもう少し考慮すべきと思う。

 5年債と3年債は償還までの利率が固定される。つまり、3年間もしくは5年間は0.05%の利率のままである。これに対して変動10年については半年毎に実勢金利に応じて支払われる。各利払期における適用利率(年率)は、基準金利に0.66を掛けた値(0.01%刻み)となる。つまり長期金利が今後上昇すれば受け取る利率が今後0.05%からアップされる仕組みとなっている。

 個人向け国債は3本ともに1年間は特別の事情がない限りは途中換金はできない。つまり、1年経過すれば3本ともいつでも財務省が元本で買い取ってくれる。利率は最低の0.05%が保証されるが3年固定、5年固定は当初の利率がそのまま継続される、しかし10年変動は何かのきっかけで金利が上昇すれば、受け取る利子も増えることになる。

 この最低保証利率の0.05%については預貯金金利がマイナスとなるような事態とならない限りは継続されるとみられている。また、最低利率の保証がつき発行された個人向け国債は途中で条件が変わることもない。仮に預貯金金利がマイナスとなり、個人向け国債の最低保障利率の変更があったとしても、それは新たに募集されるものから適用されることになろう(たぶんそんな際は発行そのものができないと思うが)。

 もしこのままマイナス金利が10年間も続くと予想するのであれば、10年変動も魅力はないかもしれないが、そのような状況が10年間続くことのほうが考えづらい。資金の待避先としても個人向け国債は使える。買入金額に上限がない上、国の保証付きであるためである。マイナス金利という異常事態の資金の待避先としては10年変動タイプが魅力的に私には思えるのである。

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by nihonkokusai | 2016-03-08 09:54 | 国債 | Comments(0)
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