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10年国債をマイナス金利で買える人

 3月1日の10年国債の入札において落札利回りが初めてマイナスとなった。すでに流通市場では10年債利回りはマイナスとなっていたが、落札利回りでもマイナスになるという異常な事態となっている。

 日銀のマイナス金利政策によるマイナス金利の部分は超過準備の一部に掛かる金利ではあるが、それがひとつの金利水準の起点ともなることで、債券のイールドカーブ全体の下押し要因となり、10年債の利回りまでマイナスとなった。

 マイナス金利となった10年債は誰が購入するのか。ロールダウン効果を意識して一定期間保有してその分の利回りが低下したところで売却して利益を出すといった投資は可能ながら、そのような投資は限られよう。外銀などの運用もありうるが、いくらマイナス金利でもペイできるとはいえ10年という長い期間の債券での運用は限られるのではかろうか。年金運用などで顧客の了解を得た上でのパッシプ運用での購入もあるかもしれないが、積極的には買いづらい。

 このためマイナス金利での10年国債でも積極的に購入するのはほぼ日銀だけということにもなりかねない。日銀は来年度の国債発行額のほとんどを購入する計算となっていることもあり、新発債の多くを結果として保有することとなる。発行された国債はプライマリー・ディーラーを中心とする業者が落札して一時保管し、それを日銀に売却するというパターンとなる。

 ただし、3月1日の入札分については償還月ということから最短で14日からしか日銀は買入できないようである。つまりプライマリーディーラーなどの業者はその間、10年国債の保有リスクを負うことになる。

 日銀の大量の国債買入があり、そこに日銀はマイナス金利まで導入した結果、国債は買い進まれて売りづらい状況が続いている。このため価格変動リスクに備えての債券先物やスワップなどを使ったヘッジ手段は取りづらい。ヘッジ分で損失が発生する恐れが高いためである。

 しかし、この間に何かしらのイベントリスクが絶対ないとは限らない。3月10日にはECB理事会があり、追加緩和への期待も出ている。14日、15日には日銀の金融政策決定会合も予定されている。ECBなどの動向次第では相場がひと波乱あってもおかしくはない。また、安倍政権が2017年4月の消費税率10%への引き上げを先送りする可能性も出ている。

 日本の債券市場は利回りの水準をみるとまさに異常な水準にあることも確かであり、業者が大きなポジションを保有したままで何かしらのきっかけで大きな価格調整が起きないとも限らない。可能性はそれほど高くはないかもしれないが、この間の国債市場の動向も要注意となろう。

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by nihonkokusai | 2016-03-07 09:43 | 国債 | Comments(0)
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