10年国債の落札利回りが初のマイナスに
今回は3月発行なので2月発行のものとは利回り水準とは関係なく償還日が異なるため新発債となる。この場合の利率の設定は、2月債の利回りやWIと呼ばれる国債の発行日前取引の利回りが参考にされる。入札日の前日、2月29日の直近発行された10年債である341回債(利率0.3%)はマイナス0.075~マイナス0.060%あたりでの値動きとなっていた。WIは出合いはなかったものの気配はマイナス0.040%/マイナス0.030%となっていた(償還が3か月長くなるとその分利回りは通常は上昇する)。
10年国債の流通市場での利回り水準はゼロ以下となっていたが、利付国債の入札における最低利率は0.1%に設定されている。このため利率がゼロやマイナスということにはならない(これはすでにマイナス金利で落札された2年債や5年債も同様)。今回の10年国債の利率は10年債としては初めて過去最低の0.1%に設定された。
ただし、実勢利回りがマイナスとなっている以上は、落札利回りもマイナスになることが予想され、それは価格で調整される。1日の10年債入札は最低落札価格101円16銭(マイナス0.015%)、平均落札価格101円25銭(マイナス0.024%)と最高落札利回り、平均落札利回りともに10年債としては初めてマイナスとなった。最低落札価格は予想を下回るもテール(平均と最低落札価格の差)は9銭と前回の14銭から縮小し、応札倍率は3.20倍と前回の3.14倍をやや上回るなどまずまず無難な結果となった。
それでは誰がこのマイナス金利の国債を購入するのか。ロールダウン効果等も意識された国内投資家の買いが全くないわけではなかろうが、主な購入先は業者を通じた日銀となろう。日銀はマイナス金利でも買いオペで購入するため、プライマリーディーラーを中心とする業者はそれを意識して応札する。プライマリーティーラーは一定比率の応札・落札が義務づけられている。また、一部外銀なども購入する可能性はある。
ただし、注意すべきは3、6、9、12月という国債の償還月に限っては日銀が今回の新発10年国債を買い入れるのは早くても14日約定分となる。このため今日入札した業者はそれまで新発債を保有しなければならない。その間、業者は保有する国債へのリスクを負うことになることも注意したい。
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