マイナス金利政策への風当たり
日銀の石田審議委員は18日の講演のあとの会見で、16日に始まったマイナス金利政策について、「このタイミングで導入しても効果が期待できない」と発言し、さらに「市場が不安定なときにさらに(政策変更を)やるのはいかがなものか」と苦言を呈したそうである。
さらに「(地元財界人との会合では)マイナス金利の導入について、デフレ脱却に向けた強い姿勢を示したとの意見や、前向きな資金需要が出ることに期待するという意見があった一方で、金融機関の収益への影響を懸念する声や、その効果を慎重に見極めつつ適切な金融政策運営を行ってほしいとの要望があった」と発言している。石田委員は三井住友銀行出身であり、銀行出身者だから反対したのではないかとの見方もあるかもしれないが、それだけではなかったはずである。
石田委員はマイナス金利の副作用に関する質問に対して、言葉を選びながらも「これだけ色々な方が色々なことを可能性として挙げている以上、余程の効果がはっきりしていないとやるというのはなかなか合理的ではないのではないか」と発言している。
マイナス金利政策により結局、得をするのは政府となる。2月の5年国債の入札では、落札利回りが初めてマイナスとなった。すでに10年債利回りまでマイナスとなり、政府は借金をすると儲かる仕組みとなっている。また、長期金利の急激な低下は日銀の保有国債の価格が上昇するということになる。その国債は日銀が民間金融機関から吸い上げたものとなる。
マスコミなどでもマイナス金利について取りあげられることも多くなったが、副作用の面が強調されているものも多い。国会でも日銀総裁を呼んで、マイナス金利についての質問も多くなされている。
マイナス金利政策への風当たりが強まりつつあるなか、参院選を控えた政府の日銀に対する態度が変化する可能性もありうる。市場ではすでに次の追加緩和があるとしても、マイナス金利を深くすることは困難ではないかとの見方も出ている。3月の次回決定会合でどのような結果が出てくるのかも注目されよう。
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