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米利上げがリスク回避の動きの原因なのか

 今年に入ってのリスク回避の動きは、米国の利上げが要因だとの見方がある。まったく関係ないとは言えないものの、FRBの12月の利上げが年初からの日米欧の株安の直接的な原因とは考えづらい。

 今回のリスク回避の動きには原油安が大きく絡んでいることは確かである。それでは米国の利上げが原油安の原因かと言えば、そうではなかろう。また、米国の利上げは12月16日であり、年初の米株の下落まで時間にずれが生じている

 たしかに米国の利上げは金融引き締めであり、株価下落の原因とされてもおかしくはない。しかし、FRBはかなり慎重に正常化に向けた動きを進めてきたことで、利上げを織り込み済みの市場が予想外といった動きをすることも考えづらい。むしろ米国の利上げは直接的なリスク回避のきっかけではなく、世界の金融市場の資金の流れの変化を改めて意識させた面が大きいのではなかろうか。

 今回のリスク回避の背景にあるのは中国など新興国の経済バブルの崩壊が大きな要因といえる。それを支えていたのがFRBを含めての大胆な金融緩和策であり、それは原油を高止まりさせていた要因でもあった。しかし、中国の人民元切り下げにみられるように景気の悪化が顕著となり、それは原油の需要面での売り要因となった。原油価格の下落は供給面よりも需給面の見方があらためて意識され、WTIは30ドル割れとなった。

 原油価格の下落はロシアやブラジルなどの新興国とともにサウジアラビアなど産油国の経済や財政を直撃し、それが新たな不安要因ともなり、年初の中東や北朝鮮の地政学的リスクもひとつのきっかけとなって、新興国などからの資金の逆流も意識されたことで、リスク回避の動きを強めたとみられる。

 21日のECB理事会後にドラギ総裁が追加緩和を示唆し、1月29日の日銀の追加緩和も加わりいったんリスク回避の動きは弱まったものの、原油安などは中央銀行の金融政策で何とかなるものではない。金融市場の混乱で米利上げのピッチはさらに緩やかになっても、それが新興国バブル崩壊を食い止めることはできない。ECBや日銀のさらなる追加緩和手段も限られていることで(マイナス金利にも限界はある)、ここから再び中央銀行の大胆な金融緩和に頼ることも難しく、これ以上の追加緩和は副作用も大きくさせよう。

 新興国のバブルは弾けても、米国や欧州の経済がしっかりしていれば今回のリスク回避の動きも一過性のものとなろう。米国は利上げに耐えうるだけ経済は回復してきており、欧州の景気も回復しつつある。日本経済もバラ色とは言いがたいが、大きく落ち込むようなことも考えづらい。このあたりが意識されれば、リスク回避の動きは次第に収まってくると思われる。

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by nihonkokusai | 2016-02-01 10:02 | 中央銀行 | Comments(0)
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