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日銀は追加緩和をすべきなのか

 21日のWSJ電子版によると、安倍首相の側近は、世界的な市場の混乱が「アベノミクス」の支障となる恐れがあるため、日本銀行は来週の金融政策決定会合で追加緩和すべきとの見方を示したそうである。

 この側近と為れる方は株価の急落、円高、低迷する経済成長、インフレ期待の後退などの追加緩和の条件を満たしているとも述べたとか。何故、安倍首相の側近とされる人が匿名でコメントしたのであろうか。もしかするとスイス大使に転じる本田悦朗氏かもしれないが、そのような詮索はさておき、政府側からもプレッシャーが掛かってきた日銀はそれに応えることができるのであろうか。

 今年に入って顕著になった世界的な株式市場の調整とそれと同時にリスク回避の動きとしての円高に関しては、何度も繰り返すようだが国内要因に基づくものではない。このひとつの背景に原油安があるが、その原油安の大きな要因が中国経済バブルの崩壊による需要の後退にある。それは人民元の下落が示しており、そのバブル崩壊による資金の流れの変化を加速させたのがFRBの正常化に向けた動きと言える。

 それではこの株価の急落、円高、低迷する経済成長、インフレ期待の後退に対して、日銀の追加緩和策が果たして良い効果を与えうるのか。そもそも金融政策は株価対策のためにあるものではない。それはさておき、どのような追加緩和手段があるのかも不透明ながらも、いろいろと継ぎ接ぎしながらの追加緩和策を講じる可能性はある。それが株価の下落や円高の動きにブレーキを掛ける可能性もないとは言えない。しかし、その効果も一時的なものとなるか、むしろ円買い株売りを仕掛ける絶好のタイミングとみなされる懸念もありうる。

 1月のロイター企業調査によると、日銀による今年の追加緩和について、必要との見方と不要との見方が拮抗しているそうである。また、将来の弊害を不安視する声も増えているとか。

 今回の円高や株安を招いた要因が中国経済や原油価格の下落であったとすれば、日銀の金融緩和がそれに直接働きかけるわけではない。原因となるものを改善することは難しく、せいぜい結果として出た日本株の下落や円高のスピードを緩和する程度となるのではなかろうか。ここにきての原油安や株安、円高の勢いが強すぎた分、何かしらのきっかけで反転することも相場であるためありうる。ただ、その手段として日銀の追加緩和を使うのは問題も大きい。

 日銀は過去二度のバズーカのような大規模な作戦を取るのが難しくなっている。それでも大規模な国債買入増額を行うとするのであれば、国債買入の札割れ等が起きる確率が高まることになる。反対に継ぎ接ぎの政策となれば、12月のECBの追加緩和や日銀の補完措置の決定後の市場の動きと同じように緩和の限界を示すことで、むしろ円高株安に働きかけてしまうリスクも伴う。

 日銀の物価目標の達成に向けて、かなりの向かい風になっていることも確かではあるが、市場の期待はさておいて動かないという選択肢もありうるのではなかろうか。それもまた市場では失望売りを誘うのかもしれない。しかし、日銀はまだ戦艦大和のような最終手段は温存しているとの姿勢を示し続け、市場の変動にはタイミングを見計らっての為替市場でのレートチェックといった手段を講じたほうがまだ円高株安に対しては効果的ではないかと思う。

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by nihonkokusai | 2016-01-22 09:45 | 日銀 | Comments(2)
Commented by 伊藤たける at 2016-01-22 10:52 x
今後住宅ローンを検討しております。
現在長期金利は史上最安の1.90%を記録し尚も歴史的低水準で
推移しております。
今後追加緩和も含め長期金利は低水準で推移するのでしょうか?
また国債暴落による金利上昇の可能性はあるのでしょうか?
ご教授お願いします。
Commented by nihonkokusai at 2016-01-23 11:16
先日記録した長期金利の最低は1.90%ではなく0.190%です。住宅ローンの金利は固定は長期金利、変動は短期金利に応じて決まるため、固定と変動での対象金利は異なります。長期金利の今後の動向に関しては株価や為替同様に相場なので、ご自分の判断でということになりますが、このまま低水準を維持する可能性は高いものの、何かのきっかけで大きく上昇する懸念は存在すると思います。
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