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無視はできない金利上昇リスク

 財務省は2016年度予算案で長期金利の想定を4年ぶりに引き下げ、2015年度に比べ0.2%下げて1.6%とした。日銀の異次元緩和などにより、長期金利が低水準を維持しているのを反映したものである。ただし、足元の長期金利は0.250%近辺となっており、1.6%に引き下げてもまだ大きな乖離が存在している。

 そして、6日付けの日経新聞によると、金融庁は銀行が保有する住宅ローンや国債などで市場金利の上昇によって損失が生じかねない「金利リスク」を厳しく点検する新たな監督の枠組みを検討するそうである。

 日銀は銀行と信用金庫は金利が1%上昇すると全体で10兆円ほど損失が発生すると試算しているようだが、日経新聞の記事によると各銀行のリスク量の算定においては、過去の市場の動きをもと算定しているため、0.3%程度の金利変動しか考慮していないとの指摘もあるようである。

 予算案で長期金利の想定を1.6%と実勢からかなり高く見積もっているのは、この水準まで上昇したとしても、国債発行計画などに支障が出ないようにするためである。日銀がこれだけ国債を大量に買い入れており、物価も上昇せず、欧米の長期金利も低位安定している状況下、長期金利が1.6%に上昇するのはあり得ない、との見方も当然あろう。

 QUICKの月次調査をみても、2016年の長期金利の高値は0.5%近辺を予想している人が多く、個別で見ても1%程度あたりまでの予想となっている。特にここにきて債券市場の値動きそのものも小さくなっており、国債が大きく下落する気配は全くといって良いほどない。ただし、債券も市場で取引されている以上、何かしらのきっかけで大きく変動するリスクは常に存在する。

 2003年の6月あたりまでの債券市場も日中の動きは鈍かったものの、当時の日銀の量的緩和政策も影響し、ジリ高(利回りはじり安)基調となっていた。ところが長期金利が6月に0.430%と当時の過去最低を更新したあたりから、債券相場は急変した。7月には1.4%台に上昇したのである。このように何かしらのきっかけで長期金利が1%程度跳ね上がるようなリスクは過去の事例からも十分にありうる。

 それでも日本国債の急落を想定した発言やポジションに関しては、オオカミ少年とも揶揄された。国債の急落はありえないとの声も聞かれるが、金利上昇リスクは常に想定しておく必要はある。

 2016年の債券相場の予想をみると、大きな変動が起きるのではないかとの見方もある。そのリスクのひとつは日銀の大量の国債買入と物価目標との兼ね合いにあるのではなかろうか。12月の異次元緩和の補完措置により、国債の買い入れ余地は拡がったが、これはつまりまだ日銀は大量の国債を買い続けることを意味し、それは債券市場の流動性をさらに低下させることにもなる。米国は利上げを開始したことで、金利を取り巻く環境に変化の兆しもある。日本の金利上昇リスクに関しては、完全に無視できる状況にあるとは考えづらいのである。

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by nihonkokusai | 2016-01-07 09:28 | 債券市場 | Comments(0)
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