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パリバ・ショックの再来はあるのか

 米国では1990年代に移民の増加による人口の増加に加え、低所得層に対する住宅金融制度が整備され、返済方法についての規制緩和が行われたことなどから、低所得者層にも住宅ブームが波及した。また低金利に加え、持ち家比率の高まりなどが住宅価格の高騰を招いた。住宅価格の値上がり分を担保による貸し出し(ホーム・エクイティ・ローン)が伸び、住宅価格の値上分がり分の消費が可能となり、消費を底上げした。

 さらに低所得者向けの住宅ローン(サブプライム・ローン) は、そのリスクを減らすために証券化され、金融理論で構築された価格と格付会社による高格付けを得て債務担保証券(CDO)といった新たな金融商品に組成された。欧州や産油国だけでなく、中国や台湾といったアジア勢、そして日本からなどから大量の資金が米国に流入するなどの金余りブームも加わり、このような金融化商品へのニーズは高まり、サブプライム・ローンが組み込まれた証券化商品は、世界各国の金融機関やファンドに売却された。

 2006年半ばに、それまで高騰を続けていた米国の住宅価格が下落に転じ、一部の住宅ローンが担保割れとなるなど住宅バブルが崩壊し、信用力の低い個人向けの住宅資金貸し付けであるサブプライム・ローンで焦げ付きが増加した。

 サブプライム・ローン問題による最初の危機は欧州で発生した。2007年8月9日にドイツ連邦銀行は、IKB産業銀行がサププライムでの投資に伴う損失発生に対しての救済策を協議するため、緊急会合を開催した。さらに同日、フランスの銀行最大手BNPパリバは傘下ファンドの償還停止を発表し、次はどこかとの連想も加わり、欧州銀行向け資金の出し手が急速に限られてしまい、これはパリバ・ショックとも呼ばれた。サブプライム問題は米国の大手金融機関を直撃し、これがリーマン・ショックに繋がり、世界的な金融危機を招くことになる。

 先週、投資会社サード・アベニュー・マネジメント傘下のジャンク社債ファンドは投資家からの解約受付を停止すると発表した。米国のミューチュアル・ファンドの破綻規模としては、2008年のプライマリー・リザーブ・ファンド以降で最大となる。さらにヘッジファンドも、ディストレスト債を専門に手掛けるストーン・ライオン・キャピタル・パートナーズが11日に解約請求の受け付けを停止した。解約が殺到しているライオンアイ・キャピタルも12月末に閉鎖する予定だとみられている(ロイター)。

 11日のリスクオフーは原油先物の下落が要因であったとみられるが、サード・アベニューやヘッジファンドの解約受付停止のニュースがパリバショックが連想させ、市場の不安感を強めたことも大きな要因となっていた。

 今回の原油価格の下落などを背景としたジャンク債などによる影響が、パリバ・ショックのような事態を引き起こすのか。市場規模がさほど大きくないこともあるが、サブプライム・ローン問題のように大手金融機関の破綻に繋がるような事態も考えづらい。たしかにこれがひとつのきっかけとなり、大きな危機に発展する懸念はないとは言えない。パリバ・ショックのときも、その後の展開は予想できなかったことも確かである。しかし、リーマン・ショックなどを経ていることで、大手金融機関も対応を進めていたはずであり、いまのところは同様の危機を繰り返すことも考えづらい。さらに原油価格下落による新興国発の危機に関しても、中国、ロシア、ブラジルなどは潤沢な外貨準備を抱えており、こちらも1998年のような危機が訪れることも想定しづらいのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2015-12-16 09:06 | 国際情勢 | Comments(0)
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