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「2005年6月14、15日開催分金融政策決定会合議事要旨より」

「当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」を私なりの分析をしてみたい。

「当面の金融政策運営について、委員は、消費者物価の前年比が小幅ながらマイナスを続けている現状では、(1)所要準備額を大幅に上回る潤沢な流動性を供給し、(2)そうした政策を消費者物価指数に基づく「約束」に沿って続けていく、という現在の量的緩和政策の枠組みを堅持すること、が重要であるという点で、前回決定会合に続き認識を共有した。」

7月以降、特に10月以降、仮の話ではあるが予想されるように、消費者物価の前年比が小幅ながら「プラス」を続けている状況となった際には、この文面はどのように変化するのであろうか。それは置いといてこの部分には特に違和感はない。ただ本当に「認識は共有」されているのかどうかちょっと疑問も残るが。

「その上で、金融システム不安が後退するもとで、金融機関の流動性需要が減少し資金余剰感が強まっている状況を踏まえて、複数の委員は、量的緩和政策をより円滑に運営していくためには、当座預金残高目標を減額することが適当であるとの見解を示した。」

これは今回も反対した福間委員と水野委員のコメントであることは明確。

「一人の委員は、金融環境が変化しているにもかかわらず巨額の当座預金残高を維持することは市場機能の回復を妨げるほか、金融規律の低下に繋がるリスクがあるなどデメリットの方が大きいとして、当座預金残高目標を「27~32兆円程度」に減額し、「なお書き」を前回決定会合での修正前の文言に戻すことが適当であるとの見解を示した。」

上記は福間委員のコメントと見られる。「市場機能の回復を妨げる」ことや゛金融規律の低下に繋がるリスク」のデメリットに言及。そしてもし減額するならば「なお書き」を前回決定会合での修正前の文言に戻すということも当然と言えば当然。

「また、もう一人の委員は、当座預金残高をある程度引き下げていかないと短期金融市場の機能は回復しないと主張し、当座預金残高目標を「25~30兆円程度」に減額することが適当であると述べた。」

水野氏である。今回は福間氏とは別に当座預金残高目標を「25~30兆円程度」に減額することを提案している。3兆円下げるか5兆円下げるか、あまり幅は関係ないようにも思われるものの、どうせなら一緒に同じ額での引き下げを提案してほしい気もする。実際に減額するようなことになって、審議委員が皆微妙に違う数値を提案してきたら、まとまるものもまとまらなくなる懸念も(?)。

「これに対して、大方の委員は、現在の金融市場調節方針を継続することが適当であるとの見解を述べた。」

まだ、こちらの方が当然多数である。

「多くの委員は、景気が「踊り場」にある中で、金融市場調節方針の変更を行うと、日本銀行の金融緩和スタンスが後退したと誤解されるリスクがあるとの認識を示した。」

福井総裁もここにきて景気認識を前進させたようにも思われるが、もし踊り場を脱した場合には「金融緩和スタンスが後退したと誤解されるリスク」は後退するということになるのであろうか。それともまた景気が減速するリスクは存在するとかなんとか(?)

「一人の委員は、デフレ克服にマイナスの影響が出ないことへの理解を得ながら、慎重に当座預金残高目標を減額していくことは将来の選択肢の一つと指摘しつつも、景気が「踊り場」にある中では、現状の金融市場調節方針の継続が適当であると述べた。」

須田委員であろうか。減額については「踊り場」を脱した際には賛成に回るものと考えられる。

「ある委員は、量的緩和政策の効果の中には家計・企業の期待に働きかける効果があると思うが、金融市場調節方針の修正にあたっては、こうした期待に働きかける効果を損なうことのないよう、極めて慎重な配慮が必要であるとの認識を示した。」

上記は、あくまで憶測であるが、中原審議委員あたりのコメントと思われるが西村委員の可能性もありそう。

「別の一人の委員は、当座預金残高目標を減額することは、量的緩和政策の時間軸効果を減殺してしまうリスクがあり、現在の目標水準を維持することは、デフレ克服を確かなものとし、市場機能の回復を可能とする最短の途であると述べた。」

こちらは岩田副総裁のコメントか?

「前回決定会合で修正した「なお書き」の扱いについて、一人の委員は、金融機関の流動性需要の減少やそのもとでの「札割れ」の頻発といった基本的な構図に変化がないもとで、今後様々な要因によって、金融機関の資金需要が減少するような場合には、市場機能への影響に配慮しつつ、最大限の資金供給努力を行っても、当座預金残高目標の維持が難しくなる場合も考えられることから、「なお書き」を維持することが適当であると述べた。」

なお書きに対する発言である。まずは総裁から、といったところか。

「また、何人かの委員も、「なお書き」を修正した趣旨については、市場でほぼ正確に理解されてきており、「なお書き」を変更する必要はないとの見解を述べた。この間、一人の委員は、前回修正した「なお書き」を維持することには敢えて反対するものではないが、発動基準や配慮すべき市場機能の内容について、必ずしも明確でない面もあることから、今後とも議論を行いつつ、残高目標達成に向けてのオペレーション上の努力を一貫して続けていくことが重要であると述べた。」

これがどの委員の発言なのか。「敢えて反対するものではない」とのコメントも気になる。「発動基準や配慮すべき市場機能の内容について、必ずしも明確でない面もある」と疑問を呈している。こちらが中原委員のコメントである可能性も。

「この点に関連して、委員は、前回会合における「なお書き」修正の趣旨は、金融機関の流動性需要が減少していることを踏まえ、金融機関の資金需要が極めて弱いと判断される場合には、当座預金残高が一時的に目標値を下回ることがありうるとしたものであり、今後の政策決定に関して何かを積み残しているものではないという点を改めて確認した。」

上記は総裁であろう。そうなるとその前の発言者は総裁の意図するところにやや疑問を挟んでいる委員と思われる。のちほど慎重な発言をしている武藤副総裁ととれなくもないが、岩田副総裁も含めて総裁の意思と反するような発言を決定会合の場で行うというのは、考えづらい。そうなれば、目標修正には反対ながらなお書き修正には賛成票を投じた中原委員と見るのが妥当であろうか。

「複数の委員は、金利の正常化に向けた第一歩というような今後の政策と結びつけた形で解釈されることがないよう、対外的な情報発信には正確を期す必要があると付け加えた。」

これは形式上(?)の公式見解と私は見ているので、総裁や副総裁などの意見であるものと思われる。

また、量的緩和政策のもとでの資金供給が市場機能へ及ぼす影響についても議論があった。

この部分はやや興味深い。

「ある委員は、資金供給オペレーション期間の長期化により、例えば短期国債の金利がほぼ一様にゼロに貼り付くなど、タイム・バリューのない異常な金利形成になっていると述べた。」

量的緩和策の時間軸効果が働いていることを考え合わせれば、異常な金利形成は日銀自らの働きかけによるもののはずである。

「また、一人の委員は、 2006年度にかけて量的緩和政策の枠組みを変更する可能性が徐々に高まると想定されるもとで、長めの資金供給オペレーションにより金利を無理に押し下げてしまうと、金利に関する市場の情報発信機能を損なうことになるため、オペレーション期間の長期化は避けるべきであると指摘した。」

たぶん水野委員のコメントであろう。量的緩和策を行っている段階においては金利に関する市場の情報発信機能はどうしても避けられない。それが可能となるのは日銀が完全に方向を転じてからである。技術的な対応からでは情報発信は無理と思われる。

「別の委員は、同様の観点から、オペレーション期間の短期化を進めるべきとの見解を示した。」

それでなくてもオペレーション期間を短期化してはますます札割れが多発し、だからこそ今年度末を超えるような長距離砲を撃っているはずである。実際のオペレーションの現場の意見も聞いているとは思うのだが、オペレーション期間の短期化は進めるべきものであるかもしれないが、現状進められるものではないと思う。もちろんこれがいずれ時代遅れとなってしまった長距離砲を持った巨艦、戦艦大和のように大いなる無駄なものとならないことを祈るばかりでもあるが。

「これに対して、複数の委員は、市場機能の尊重は中央銀行にとって極めて重要なテーマであるが、潤沢な資金供給がイールドカーブを押し下げる効果を持ち得ることは量的緩和政策の宿命でもあると指摘した。」

まさに宿命であると私も思う。「宿命」という響きがちょっと嫌な響きにも聞こえるが。

別の一人の委員は、量的緩和政策は、当初から市場機能への影響と政策目的達成との間のバランスを保ちつつ進められてきた政策であるとした上で、経済金融情勢が変化してきている中で、当座預金残高目標が自己目的化し、市場機能に過度の悪影響を及ぼすことは出来る限り避けるべきであると述べた。

自己目的化という表現は2日の福島県金融経済懇談会における水野審議委員挨拶の中に「当座預金残高目標の維持が自己目的化しないように」というのがあるが、また、武藤副総裁も23日の大分市内で講演し「自己目的化の残高達成は止め、市場に少しでも機能が残る運営にした」ともコメントしている。上記の「2006年度にかけて量的緩和政策の枠組みを変更する可能性が徐々に高まると想定される」とのコメントがもし水野委員であれば、これは武藤副総裁のコメントである可能性がある。「市場機能への影響と政策目的達成との間のバランスを保ちつつ進められてきた政策」というコメントも武藤副総裁ではないかと思えるのだが。ただし自己目的との表現を講演等で行っているのは二人であっても、それがある程度日銀の共通用語となっている可能性もある。その場合、最後にまとめていることを考え合わせ、福井総裁の可能性もありうる。なお以上のコメントはすべてあくまで私の推測であることをお断りしておきたい。
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by nihonkokusai | 2005-07-19 16:59 | 日銀 | Comments(0)
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