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日銀の金融政策は現状維持を貫く

 本日の日銀の金融政策決定会合では、8対1(反対はいつものように木内委員)で金融政策の現状維持が決定された。一部、サプライズ的な追加緩和観測もあったが、いま日銀は動ける状況にはないと思われる。

 政府が経済対策の必要性を判断する時期について、10月中に前倒しする方向となったそうである。背景には世界経済の減速が急速に強まり、国内経済を圧迫するという危機感があるという(ロイター)。

 7-9月期GDPの1次速報の公表は11月16日の予定。これを確認した上で政府は経済対策の取りまとめの判断をするとみられていた。このあと年末までに補正予算を編成して、必要であれば経済対策を盛り込むとみられていた。もちろん来年の参院選挙も睨んだものでもあろう。

 TPPも大筋合意ができたことで、安倍政権にとってはアベノミクスを全面に押し出せるものの、肝心の経済指標でGDPが二期連続のマイナスとなれば、景気後退局面入りしたことになってしまう。当初、7-9月期GDPは好調な企業収益や賃金増から好転するのではないかとの予想が多かったが、鉱工業生産指数が7月、8月と2か月連続のマイナスになるなどしたことで、7-9月期GDPもマイナスになるのではとの見方となりつつある。政府の経済対策の取りまとめに合わせる格好での日銀の追加緩和期待も強まりつつある。

 昨年10月末の日銀による量的・質的緩和の拡大(異次元緩和第二弾)の決定に関しては、原油価格の下落などによるデフレマインドの転換が遅延するリスクを理由としていた。そのタイミングからはGPIFの運用比率の変更の発表や、FRBのテーパリングの終了に合わせての円安・株高を意識するとともに、消費増税の行方も考慮してのものかと推測された。また、展望レポートでの物価見通しの下方修正も影響していたとみられる。

 今月30日の日銀の金融政策決定会合後に発表される展望レポートでも、物価見通しについては下方修正されるとの予想となっている。それでは10月30日の展望レポートが発表される決定会合などで、追加緩和が決定される可能性はあるのか。

 ここにはいくつかの障壁が待ち構えている。「追加緩和」というのは良いが、かなり大雑把な表現であり、具体的な政策については現実には見方は分かれ、はっきりと示されているわけではない。どうも「やれば良い」的な予想になっているようにも思われる。

 手段に限りがあることはこれまでに指摘してきたとおりである。国債買入の増額にも限度がある。社債買入などの増額は量的緩和としては市場規模が小さすぎる。ETFについてもほぼ日銀が買い占めることになりかねない。超過準備の付利引き下げにはターゲットを量から金利に戻す必要がある。

 さらに黒田総裁としては最も得意な分野となる為替市場について、昨年10月の異次元緩和第二弾の際のような円安を狙った政策がいまは取りづらい。米国側からの暗黙の批判もあったとみられる上に、与党の政治家からは、価格上昇による個人消費への影響や中小企業への影響も危惧されている。円安となっても現地生産を強めているメーカーにとっては恩恵を受けにくいこともあり、円安が景気対策になるとの見方は以前に比べてかなり後退している。急激な円高阻止とかであればさておき、ドル円が120円近辺で安定しているのはむしろ都合が良いはずであり、この為替を過度に刺激させたくはないはずである。

 そもそも追加緩和をして物価が上がるのかという根本的な問題はいまはさておき、現在の環境下では、日銀が追加緩和をしようにも手段は限られ、それによる市場への影響を考慮してもいま動くことはむしろ避けたいのではなかろうか。むろん、何かしら突拍子もない手段を講じる可能性や、リフレ政策を放棄して以前の日銀のフレキシブルな逐次で小出し含む政策に戻す可能性もないわけではない。しかし、それをするよりも、物価の基調はしっかりという前提のもと、金融政策は現状維持を選択し、異次元緩和を「継続」することで政府の景気対策の後押しになるとの主張を貫くのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2015-10-07 12:15 | 日銀 | Comments(0)
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