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山本幸三氏の発言の矛盾

 自民党の山本幸三衆院議員は、日銀の金融政策に関し、経済・物価情勢の展望(展望レポート)を策定する10月30日の金融政策決定会合に合わせて追加の金融緩和に踏み切るべきだとの認識を示した(ブルームバーグ)。

 山本幸三氏はいわゆるリフレ派と呼ばれる人たちの代表格ともいえる。安倍晋三首相とは野党時代に金融政策の勉強会を重ねてきており、2012年11月の安倍総裁の輪転機発言の背景にいた人物であり、本田悦朗内閣官房参与や浜田宏一内閣官房参与などとともに、リフレ政策による金融政策を柱としたアベノミクスを勧めてきた人物である。

 山本氏は具体策として、現在は「年間80兆円」のペースで行っている長期国債などの資産買い入れを最低10兆円規模で拡大することが必要と述べ、経済や物価に関する見通しは「どうせ見直しをしたら落ちるだろう。その時に何もしないというのはおかしい」と指摘。10月30日の会合は追加緩和の「いい機会だ」と語ったそうである(ブルームバーグ)。

 山本氏は今年1月のロイターとのインタビューでは、 日銀が掲げる「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果だとして十分説明可能と述べていた。追加緩和の効果が、今年夏以降に出てくるとし、「よほどそのほかの外的ショックがなければ様子をみてよい」としていた。

 また、2014年のブレジデントとのインタビューでは、「アベノミクスの金融緩和で円安になれば、輸出が伸びるから、その分で消費税の悪影響の分は相殺できるので大丈夫だろうと予測していた。しかし、輸出がまったく伸びない。工場の海外移転が大きい理由です。輸出構造が変わってしまった。消費税増税の影響を相殺する材料がないから、マイナスの影響だけが残った」との発言もあった。

 それでは日銀が2013年4月と2014年10月に二度にわたる異次元緩和を行った意味は何であるのか。山本氏などのリフレ派が求めていたようなインフレターゲット政策を日銀が行ったにもかかわらず、肝心の物価が上がっていない。リフレ政策は円安のための政策であったのか。その円安の効果すらものちほど否定している。

 消費増税による影響が大きいとするのであれば、異次元緩和の効果なるものはどこにいったのであろう。消費増税の悪影響を一定水準に止めるショックアブソーバー的な効果しかなかったとすれば、リフレ派が否定してきたそれまでの金融緩和効果と、どのような違いがあったのか。昨年10月の追加緩和の効果そのものも出てきていないし、物価は上がっていない事実をどのように説明するのか。

 その説明もなしに、日銀による「10兆円」の資産買入の増額で、どこにどのような効果が出るというであろうか。すでに山本氏は円安の効果についても自ら否定していることで、10兆円を増やせば物価目標を達成できるという根拠に乏しい。

 そろそろリフレ政策の意味そのものを問い直す必要もあるのではなかろうか。今回の山本氏の発言を受けて日銀が動くようなことはなかろう。アベノミクスに乗った日銀ではあったが、その効果について結果が伴っていないことを一番理解しているのは日銀自身であろう。

 市場参加者も日銀に資産買入による追加緩和を求めても、一時的に株価やドル円などに働きかけることはできても、実体経済や物価そのものを押し上げることはできないという事実を認識すべき時かと思われる。

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by nihonkokusai | 2015-09-13 12:31 | アベノミクス | Comments(0)
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