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中国だけではない米株の調整要因

 今回の中国経済の減速などが要因とされる世界的な株価の調整は一時的なものとなるのであろうか。2012年11月あたりからスタートしたダウ平均や日経平均、さらにはドル円の上昇相場を振り返りながら確認してみたい。

 2012年11月からの日本株やドル円の上昇はアベノミクスによるものとの見方がある。たしかにその側面があったことは否定しないが、あくまでそれはきっかけのひとつにすぎない。もし安倍総裁の発言がダウ平均まで動かしていたとしたら別であるが、ダウ平均の動きを含め、これは欧州の信用不安の後退によるリスク回避の巻き戻しの動きといえた。

 そのダウ平均や日経平均、ドル円の上昇トレンドが崩れたのが、2013年5月のバーナンキ・ショックと呼ばれたものによる。2013年5月22日にバーナンキFRB議長は上下両院合同経済委員会の証言後の質疑応答で、景気指標の改善が続けば債券購入のペースを減速させる可能性があると指摘した。つまりテーパリングを示唆した。

 2013年5月22日の日経平均の引けは15600円台であったが、そこから下落基調となり6月13日には12400円台に下落した。この間のドル円は102円台後半から93円台に下落していた。

 このバーナンキ・ショックはFRBのテーパリングの開始観測がきっかけとなっていた。このため米長期金利も上昇し、5月23日に2%台に乗せたあと9月に3%近辺に上昇していた。ただし、ダウ平均の調整は6月末あたりで終了し、再び上昇基調に戻っていた。

 ところが日経平均とドル円はここでいったんピークアウトしていた。急激な円高調整と株の買い戻しがバーナンキ・ショックをきっかけに収束したとみることもできる。しかし、ダウ平均の上昇は止まらなかった。このダウ平均の動きは日銀が利上げを開始したにも関わらず高値を更新し続けた1989年の日経平均と似たところがあった。ダウ平均も高値を更新してきたのである。

 日経平均とドル円が再び息を吹き返したのが、2014年10月となる。日銀による量的・質的緩和の拡大、つまり異次元緩和第二弾により、再び日本株買いと円売りが同時に起きていた。ここにはGPIFや日銀などの株買いも意識されていたこともあったとみられ、日経平均は最近まで上昇圧力を強めた格好になった。

 ところがダウ平均をみると18000ドル台ですでにピークアウトしていた。むしろダウントレンドになっていたところに、今回のショックが発生した格好となった。これは中国がきっかけであったのかもしれないが、タイムラグをともなっての過剰流動性相場の終焉を意味していた可能性もある。つまり、1990年以降の日本株の調整、いわゆるバブル崩壊時の状況にも似たところがある。

 今回の米国株をみても経済実態以上に買い進まれていたとの見方もできるのではなかろうか。たしかに米国は雇用等の回復はあったが、株価指数が過去最高値を更新するほど経済実態が良くなったわけではない。過剰流動性相場が演出された結果となれば、テーパリングが終了してから7か月程度のタイムラグを置いての大きなトレンド変化が始まったとの見方も可能ではなかろうか。現実に今回のダウ平均の調整幅は2012年11月以降でみると、最も大きなものとなっている。これにより大きな上昇トレンドは終了し、今後はあらたなトレンドを形成してくる可能性も高いのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2015-08-27 09:49 | 国際情勢
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