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国債の前倒し発行が過去最大に

 8月20日の日経新聞によると今年度の国債の前倒し債の発行ペースが過去最大になったようである。

 大量の国債発行を円滑に行うために、国債の借換債は年度を越えて前年度に前倒して発行ができる。借換債とは建設国債や赤字国債には60年償還ルールがあるため、60年で償還出来るように発行される国債である。

 年度を越えて前年度に前倒して発行ができることで、これは国債の前倒し発行と呼ばれている。翌年度の国債発行額を多少なりとも減額させられるときには借換債を前倒しで発行し、国債の安定消化を図るように調整するためのものである。この前倒し発行額については、毎年度の予算総則であらかじめ国会の議決をうけた限度額の範囲内で発行されている。

 国債の発行には出納整理期間内発行というものがある。実際の特例国債の発行にあたっては国会の議決を経た範囲内で、税収等の実績に応じ発行額を極力抑える必要がある。このため毎年度の税収の収納期限である翌年度の5月末までの税収実績等を勘案して特例国債の発行額を調整するために、特例国債の発行時期を翌年度の6月末までとするいわゆる出納整理期間発行の制度が設けられている。

 つまり、前倒し発行と出納整理期間内発行を使うことで、年度内の国債発行についてはこれを使ってある程度やりくりすることが可能となっている。

 2014年度の前倒し発行は29兆円の枠となっていたが、発行額はほぼその限度額に28.8兆円となり前年度に比べ24%増え過去最高となった。2015年度予算の前倒し枠は32兆円に増加されていたが、日経新聞によると「前倒し債の発行ペースの指標となる特別な入札枠で今年度は8月中旬時点で発行計画の8割超を消化した」そうである。特別な入札枠というのが良くわからないが、いずれにしてもこのペースで行けば今年度の32兆円という限度近くの発行が予想され、過去最大規模の前倒し発行額となることが予想されている。

 日経新聞によると「国債の利払い費は15年度予算で10.1兆円。長期金利が1%上昇すると1年後の利払い費を含む国債費は1兆円増える。財務省は異次元緩和が出口に近づき金利が上がる前に利払い費が安い国債への借り換えを進める」ことも目的だとか。長期金利が上がる前に前倒し債を大量に発行していれば多少なり利払い費は抑えられる。

 また「債券市場では、日銀による国債購入で取引する国債が不足気味だ。前倒し発行が増えれば国債不足で取引が滞る事態を避けやすくなる面もある」との日経新聞での指摘があったが、確かに年間発行額の9割も日銀が吸い上げてしまうことで、前倒しの発行が増えればその分の流動玉が確保できることになる。

 しかし、それよりも不測の事態に陥って国債の入札が仮にできなくなるようなことが起きた際にも、この前倒しで発行された分がバッファーとなる。つまりこれは国債発行にとってのひとつのセーフティーネットともなるのである。

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by nihonkokusai | 2015-08-23 12:10 | 国債 | Comments(0)
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