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日銀は国債の流動性リスクをどう見ているのか

 日銀は8月18日に、国債市場の流動性に関連する各種指標の掲載を開始することを発表した。それによると掲載場所は下記との指摘があったので、指示通りに辿ってみた。

ホーム > 決済・市場 > 債券市場 > 国債市場の流動性指標 >

 上記の場所には確かに「国債市場の流動性指標」とのコーナーがあり、2015年8月18日にアップされた「国債市場の流動性指標(7月)」が掲載されていた。そこには下記の項目がグラフ化されて示されていたが、特に説明等はなかった。

<長期国債先物市場>
図表2:ビッド・アスク・スプレッド(tightness)
図表3:板の厚み(depth)
図表4:価格インパクト(resiliency)

<現物国債市場>
図表5:ディーラー間取引高(volume)
図表6:投資家等の売買動向(volume)
図表7:対顧客取引のビッド・アスク・スプレッド(tightness)
図表8:対顧客取引の提示レート間スプレッド(depth)
図表9:残存年限別の提示レート間スプレッド(depth)

 国債市場の動向や流動性をみるには本来、現物債の動きを見なければならないが、現物債は店頭取引であり、顧客と業者がダイレクトに売買を行うため、その取引動向を直接第三者が確認することはできない。そこで値動きなどを見るのに参考にしているのが日本相互証券での業者間での現物の取引とともに、大阪取引所での債券先物の取引となる。債券先物は現物債のヘッジとしても使えるが、債券相場の先行きを見越してディーリングの商いも多く、債券市場の動きを見る上でのベンチマークとなっている。そこの板の厚みなどが債券全体の層の厚みを示していると言えなくもない。

 しかし、流動性として意識すべきは現物債のほうであり、こちらは業者のビッド・アスク、つまり買値と売値がどの水準にあり、それがどの程度乖離しているのかが重要になる。いまのところ買値と売値の水準や売買高に関しては、異次元緩和前に比べてそれほど落ち込んでいるわけではない。しかし、日銀がこのような指標を出すぐらいに市場も日銀も異次元緩和による債券市場の影響を危惧していることは確かである。

 国債の入札があり、それを業者が落札し一部を投資家に販売し、その多くは日銀の国債買入に対応する。1年物のTDBの金利がマイナスとなり、過去最低水準となっているが、これはマイナス金利で応札してもマイナス金利で日銀に売却ができるためである。一部の外国人投資家もマイナスでの運用は可能ながらも日銀の国債買入に過度に依存した格好となっている。念のため短期債をマイナス金利で購入すると損失が発生するが、それは結果として誰の負担となっているのであろうか。

 上記の流動性指標では確かに投資家の国債などの売買に適切な価格で業者が答え、それが売買に繋がっているのか。つまり日々の正常な商いがこれまで通りに継続しているのかは確認できる。しかし、異常な売買というか、買いを行っているのは日銀そのものであり、それを止めるとか減らす際に何が起きるのか、起きないのかをこのグラフが示しているわけでは当然ない。日銀がテーパリングなり出口を模索するようなことになれば、このあたりのリスクが表面化する。それ以前に国債買入そのものにもいずれ限界がくることや、日銀の買い占めによる債券先物などへの影響等もいずれ表面化する可能性がある。つまり市場に内在し、注意すべき潜在的な国債の流動性リスクをこれで確認できるわけではない。

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by nihonkokusai | 2015-08-20 09:47 | 債券市場 | Comments(0)
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