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日銀の出口の鍵は日本国債

 日銀の岩田規久男副総裁は8月4日の参院財政金融委員会で、量的・金融緩和政策からの出口について日銀内部では各種シミュレーションをしていると述べた。日銀は出口についてはどのような想定をしているのであろうか。

 量的・金融緩和政策からの出口については、2006年の日銀の量的緩和解除・ゼロ金利解除よりも、テーパリングを行って利上げが視野に入るFRBの動向が参考になろう。この場合の出口とは日銀の国債買入の減額、利上げ、バランスシートの縮小が予想される。このなかでも一番の難関は国債買入の減額となるのではなかろうか。

 日銀は2001年3月から2006年3月にかけて量的緩和政策を実施した。この際の調整目標は日銀の当座預金残高であった。国債の買い入れの増額もあったものの、主に短期市場に資金を供給していた。2006年3月の量的緩和の解除も短期金融市場での調節で済むことで出口からあっさりと出ることができた。このときの出口の際には、国債の買い入れは減額しなかったが、その後、日銀の保有する国債の残高は減少していた。国債買い入れが中短期債主体であったことや、長期国債が償還された際1年短国に乗り換えるなどしていたことで国債の償還が短く残高を減少させることが可能であったためである。

 これに対して2013年4月と2014年10月の二度にわたる異次元緩和は国債の買い入れ額を大きく増加するとともに、保有する平均残存年数も大胆に延ばした。このため、2006年3月当時と比べて国債の残高を落とすことは容易ではなくなっている。今回は毎月の国債買入の減額がまず必要になろう。日銀の出口政策にはこの国債買入の減額手段が鍵になると予想される。

 FRBは国債買入額の縮小、いわゆるテーパリングについては市場の動揺を起こさずに成功させた。これもあって日銀も過剰な国債買い入れを多少なり減額することは、さほど困難ではないかもしれない。しかし、過去に日銀は国債買入の額を減らした経験はなく、市場がどのような反応を起こすのかを予測することも難しい。

 日銀の巨額買入が始まる以前でも、国債は安定消化されていた。しかし、現在の債券市場は日銀の大量の国債買入ありきの状態に陥っており、買入が少しでも減少するとなれば国債への売り圧力に繋がりかねない。日銀はテーパリングを行うとしても、そのペースはFRBなどに比べても緩やかなものとする可能性が高いが、減るという事実が市場参加者の不安を助長させる可能性がある。1998年末に当時大量に国債を買い入れていた資金運用部の国債買入の減額をきっかけに、国債市場が急落した運用部ショックという事例もあった。

 日銀が出口政策をとれる環境になったということは、物価の上昇とともに長期金利の上昇が予想され、日銀の国債買入減額観測も加わることで、債券市場では過去15年程度経験してこなかった長期金利の2%超えという事態も想定される。ただし、15年前とは国債残存額が大きく違うため、過去の相場経験を生かせない事態が発生する懸念もある。とはいえ、国債に大きな価格変動が起きたとしても、それほど長く急落相場が続く事も考えづらい。これを機に財政再建への道が開ける可能性もある。ただし、ここまで膨れあがった国債残高での長期金利の上昇は市場参加者も未経験であり、対処法を誤れば本格的な日本国債の暴落も招きかねないことにも注意が必要になろう。

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by nihonkokusai | 2015-08-11 09:31 | 国債 | Comments(0)
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