英中銀は議事要旨を会合後に即時公表
日銀の例でみてみると、金融政策の決定の内容は決定会合の終了後、それほど時を置かずに公表文というかたちで公表される。決定会合後は裏地が黒く染められ内容を透かして見ることができない紙の文章をマスコミ等に配り、その内容が情報端末から報じられるが、いまでは同時に日銀のサイトでも公開されている。公表文では決定会合での金融政策の決定内容、採決の内訳(反対者等の氏名含む)、足元の景気やその見通しの簡単なまとめが報じられる。ただし、議事要旨については次回の決定会合で承認の上、その3日後に発表されている。来年からは決定会合の一週間後に「主な意見」というものが公表される予定となっている。また、会合の発言等をすべて網羅した議事録は10年後に公表される。
米国のFOMCでは会合終了後に声明文が公表される。この声明文には基本的な見解、政策決定内容、それに関する各FOMCメンバーの政策決定にかかる賛否(反対者等の氏名含む)が公開される。FOMCの議事要旨(Minutes)は会合の約3週間後に、議事録(Transcript)は5年後に公表される。8回の会合のうち2日開催される3月、6月、9月、12月のFOMC後には議長会見が予定されている。
ECBでは政策理事会後に声明が発表され、決定した政策内容が明らかになる。ECB政策理事会の会合終了後に、ECBの総裁と副総裁が記者会見を行う。総裁は記者会見の冒頭において、ステートメントに基き政策決定内容とその基礎となった分析などを説明し、その後、記者との間での質疑応答が行われる。今年1月の政策理事会の分からは議事要旨が作成され、2月19日に初めて公表された。ただし、具体的な反対者の氏名等は明らかにはされていない。これは国を跨いだ中央銀行という特殊性も意識されたものとされている。議事録は作成・保存されており、30年後に発表されるそうである。
イングランド銀行のように会合終了後、即時に議事要旨を公表するのは極めて異例である。特にイングランド銀行は近いうちの利上げの可能性があり、それに向けたやり取りもすぐに明らかとなる。これを受けて市場がどのような反応を示すのかも注目したい。
念のため、日銀は発言者の氏名等は明らかにせず、決定会合の内容をまとめたものを「議事要旨」としている。10年後には発言者の氏名とともに、すべての発言を記したものを「議事録」としている。今回のイングランド銀行が即日公表するものや、FOMCの三週間後に公表するもの、そしてECBが今年から公表しているものは、すべて日銀の「議事要旨」に該当するものであり、用語の使い方としては「議事要旨」としたほうがわかりやすい。これに対して、日銀が10年後に公表し、FRBが5年後、ECBは30年後、イングランド銀行が現在準備中とされるものは「議事録」としたほうがわかりやすいと思う。
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