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日銀は食料品の値上がりに期待か

 日銀は消費者物価指数の基調を把握するため、新しい指標に着目し始めたようである。これは金融政策の目標に置く生鮮食品を除いた指数から、昨夏以降の原油安の影響が残るエネルギーも除いたものとなり、加工食品やサービスの値上げなど足元の物価動向を確認する狙いがあるようで、新指標は7月から日銀の金融経済月報に掲載を始めた(7月18日の日経新聞電子版の記事より一部引用)。

 7月の金融経済月報における「消費者物価の基調的な変動」のグラフには、6月までなかった「除く生鮮食料・エネルギー」のグラフがそれとなく差し込まれている。原油価格の下落により、消費者物価指数(除く生鮮)の前年比は縮小した。しかし、エネルギー関連を除くとその落ち込みは緩やかなものとなる。さらに、生鮮ではない食料品の値上げが続いていることで、ここにきては緩やかに上昇しつつある。日銀総裁は会見で何度も繰り返しているように、物価の基調はしっかりしていることを示すにはちょうど良い指標となり、今回から月報にも取り上げたものとみられる。

 日銀の黒田東彦総裁は21日のバンコクでの講演後の質疑応答で、国内のインフレ率について、労働市場の引き締まりを背景に、向こう数か月で相当加速するとの見通しを示した(ロイター)。

 黒田総裁の物価見通しの強気の背景には、生鮮食料品とエネルギーは除いた指数での上昇が強く意識されているのではないか。原油価格とコア消費者物価指数の連動性は高く、原油価格の動向に影響を受けやすい。ここにきてのコア指数の前年比がゼロ近辺となっているのは、エネルギーの影響が大きい。7月から9月にかけてコアCPIは一時的に前年比でマイナスになる可能性も指摘されている。しかし、エネルギーを除くと原材料価格の高騰や円安、人件費上昇の転嫁を受けた生鮮ではない食料品の価格上昇の影響などが受けやすくなる。

 異次元緩和というかアベノミクスは、円安を加速させたことは確かである。その円安により輸入価格が上昇し、7月からはチョコレートやパン、ソースなどの値上げも相次いだ。食品関連の値上げが一段と広がりをみせ、それが外食などにも影響を見せ始めている。アルバイト代の上昇などから昼の弁当も値上げが起きているとか。

 この流れは当面続くものとみられ、円安基調に変化が見られなければ、黒田総裁の発言のように、年末に向けて消費者物価指数(除く生鮮食料・エネルギー)は前年比が上昇してくることも予想される。

 アベノミクスというか異次元緩和は円安という経路を通じて、物価を上げることになるかもしれない。ところが、安倍晋三首相はアベノミクス推進に伴う円安進行について、円を安くすることが政策の目的ではないとし、日銀による物価安定目標の実現をめざした大規模な金融緩和の結果だと今年3月の予算委員会で発言していた。

 黒田日銀総裁は同じ委員会で「金融緩和の目的はあくまで物価安定目標の達成であり、為替レートをターゲットにしたものではない。金融政策で為替レートを動かそうとか、特定のレンジに持っていこうというものではない」と強調した。

 アベノミクスも異次元緩和も円安が目的ではないとして、結果としては円安となり、それが物価上昇要因となったことも確かである。労働市場の引き締まりも、その影響は徐々に現れてくると思われる。それにより2%までの物価目標の達成も可能となるのか。いずれにしても大胆な緩和からすでに2年以上経過しており、物価については日銀の想定通りにはなっていないものの、食料品などの値上がり次第では物価は再び上昇基調となる期待もあるのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2015-07-23 09:22 | 日銀 | Comments(0)
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