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米英の利上げ観測、日銀は動けず

 イングランド銀行のカーニー総裁は7月14日、議会の財務委員会に対し、トレンドを上回る着実な成長が見られ、国内のコストが上昇しつつあり、輸入によるディスインフレを一部打消していると指摘し「経済の状況を踏まえると利上げを開始する時期が近づいている」と言明した(ロイター)。

 イングランド銀行の金融政策委員会のマイルズ委員も、利上げ開始は「明らかにやって来る」とし、「悪いことではない」と語ったそうである。ちなみにマイルズ委員はハト派として知られ、来月退任の予定だとか。

 ようやくギリシャの問題が解決に向かい、今度はあらためて異常な金融政策から脱却する「正常化」が焦点になる可能性が出てきた。

 米国の正常化よりも前に英国が正常化に向かうとの観測が強かったものの、今年初めには原油安を背景に消費者物価指数が前年比で50年超ぶりの低水準となったことで、利上げ観測は後退した。しかし、ここにきて労働市場が活性化をみせ、賃金も上昇してきている。少し前の報道ではあるが、6月に金融政策委員会のウィール委員は、8月のMPCで利上げに賛成票を投じる可能性を示唆していた。

 7月14日にはイランでのイラン核協議は最終的な合意を得られた。ギリシャ問題に続き、世界的な懸念材料が続けて払拭された格好だが、これはいずれ原油価格の下落要因ともなりうる。

 イランは現在、原油の輸出を制限されているが、これが解除されると日本の消費量の五分の一以上にあたる日量100万バレルの原油がいずれ国際市場に供給されることになる(日経新聞)。

 今後の原油価格が日銀の想定したような上昇をみせず、上値が抑えられて、物価が抑制される可能性もある。それでも英国は再び正常化の時期を模索しているようで、年内の早い時期での利上げの可能性が出てきた。ただし、その後の利上げは緩やかなペースになるであろうことも確かである。

 9月もしくは12月のFOMCで、FRBも正常化を決定してくると予想される。15日のイエレン議長の議会証言でも、年内利上げの可能性を示唆していた。

 このように今後はFRBとイングランド銀行の金融政策の正常化が市場の焦点のひとつとなってくることが予想される。利上げというかたちになる以上は、これによる米国と英国の長期金利のある程度の上昇は避けられないとみられ、米国の長期金利は3%、英国の長期金利は2.5%をいずれ視野に入れてくるのではなかろうか。

 日本相互証券によると1~6月の10年国債の業者間取引が17.2兆円と前年同期より9割増しとなり、半期として2000年以降で最大になったそうである(日経新聞)。日銀が市場から国債を吸い上げているなかで、これだけの売買高があった。この時期は欧米の長期金利が上昇基調となり、ギリシャ問題も加わって振れも大きくなった。日本国債もそれだけ海外金利の動きに敏感になってきていると思われる。

 日銀は自ら設定してしまった物価目標のために動けない。政策目標をもう少し柔軟なものに変更すべきと思うが、それも容易ではなさそうである。イングランド銀行やFRBが正常化にむけて動ける環境下に、異常な金融政策を続ける日銀という構図は続く。市場はその矛盾に対してどのような反応をしてくるのか。マグマが次第に蓄積されるような環境に日本の債券市場が置かれることも十分考えられる。

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by nihonkokusai | 2015-07-16 09:49 | 中央銀行 | Comments(0)
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