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FRBの注目点は利上げ時期と量的緩和の後始末

 6月16日から17日に開かれたFOMCでは、事実上のゼロ金利政策の維持を決めた。すでにデーパリング(量的緩和の縮小)は終了しており、現在のFRBは政策の柱を金利に戻している。ただし、非伝統的な金融政策から伝統的な金融政策への変更、正常化は利上げによって完成されることになる。それはゼロ金利解除となるが、市場の注目はこの利上げのタイミングとその後の利上げのペースに集まっている。

 昨日、イエレンFRB議長はFOMC後の会見で次のような発言をしている。参考までに議長の会見が行われるのは3月、6月、9月、12月のFOMCに限定されている。

 「時に利上げ開始時期に過度の重きが置かれていると強調したい。市場参加者にとり重要なのは、予想される政策軌道の全体図だ」

 今回、FRBは中期経済見通しで2015年の実質GDP伸び率を下方修正、16、17年の成長率は上向きに微修正した。さらにメンバーによる政策金利見通し(ドット・チャート)では、利上げペースが緩やかなものになるであろうことが示された。

 予想される政策軌道の全体図に関しては、「政策は指標次第だが、経済動向はFF金利の緩やかな引き上げしか正当化しないような状況になると現時点で見込まれている」(イエレン議長)という環境が継続されると、政策の切り替えポイントとして次のことが予想される。

 まずは正常化、つまり最初の「利上げ」のタイミングとなる。イエレン議長らはすべて会合ごとに利上げがあり得るとの立場を示してはいるが、年内しかも「年後半」がひとつのキーとなる。議長会見があるFOMCでの可能性も高く、そうなれば9月か12月のFOMCとなる。イエレン議長も「9月、12月、あるいは来年の3月にいずれの時点で開始しようが問題ではない」とも発言していた(なぜか候補はすべて会見があるFOMC)。個人的には9月を通り越して、バーナンキ議長のテーパリング決定に習っての12月という線が強いかなと思っている。

 テーパリングの終了(量的緩和解除)そして利上げ(ゼロ金利解除)が行われたあとの追加利上げは急ぐことはないと思われる。現在のFRBにとり、正常化に戻すことが主眼であり、インフレ退治とか景気の過熱感を冷やすようなことが今回の利上げの主目的ではないためである。むしろ、利上げのペースを占うより、完全には終わっていない量的緩和の後始末をどうするのかに注目したい。

 2006年の日銀の量的緩和の解除は、当座預金の積み上げの反対側にあったのが短期のものであったことで、簡単に短期間のうちに量を落とすことが可能であった。しかし、FRBや現在の日銀が買っていたのは長めの期間の債券である。

 FRBや日銀保有の国債などの残高を落とす手段としては売りオペがある。しかし、これを行うと債券市場に大きな動揺を与えうる。現実には長期金利の急騰を避けるためにも売りオペは避けると予想される。このため償還を迎えた国債などを乗り換えずに、自然に保有債券の残高を落とすほかはない。この残高調整をどのようなタイミングで決定するのかが注目点となる。

 このあたり日銀の出口政策にもおおいに参考になろうが、日銀の出口に関してはひとつ別な懸念材料がある。FRBは見事に債券市場に動揺を与えずにテーパリングを成功させた。果たして日銀はこのテーパリングそのものができるのかという問題がある。日銀は過去、国債の買い入れを増やしたことはあっても減らした経験はない。福井元総裁は量的緩和政策の際にも国債買入の増額は行っていなかったのは買入の減額の困難さがわかっていたからとも言えるのではなかろうか。日銀にとって出口政策の最大の関門はテーパリングとなろう。

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by nihonkokusai | 2015-06-19 09:35 | 中央銀行 | Comments(0)
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