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イエレン議長の市場に対する発言の意図

 5月6日の米国の株式や国債の下落は、ドイツの金利上昇が続いていたことも要因だが、イエレンFRB議長の発言も発言も影響していた。このイエレン議長の発言は、その状況を考えるといろいろと意図が見え隠れする。

 6日のイエレン議長の発言は、国際通貨基金(IMF)本部で行われたラガルド専務理事との対談においてのものである。金融界で最も影響力を持つ2人の女性の対談は今回が初めてではない。その影響力は当然、理解しているはずであり、この対談の内容は事前に綿密に練られていたとしてもおかしくはない。さらにFOMC後の会見や議会証言などのように肩肘張ったものでもない。しかも質問者がラガルトIMF専務理事となれば、曖昧な回答ではなく、より明解な答え方をしたとしてもおかしくはない状況を設定できる。

 このような状況下でイエレン議長は、米株式市場について、かなり高い水準だと述べ、潜在的に急落する危険性があるとの認識を示した。それとともに債券市場にも以下のような警告を発していた。

 「長期金利は非常に低い水準にあり、低いタームプレミアムを表しているようだ。それは変動する可能性があり、しかも急激に変動することがあり得る」(ブルームバーグ)

 「われわれは注意する必要がある。金融当局が利上げ開始の時期だと判断した際にタームプレミアムが上昇し、長期金利が急上昇する可能性にわれわれは注意している」(ブルームバーグ)

 「FRBが利上げを開始した後、長期金利が急上昇する可能性がある。このため、金融市場にショックを与えないよう、われわれはできるだけ明確に金融政策について市場とコミュニケーションを図っている」(ロイター)

 FRBは経済データ次第であるものの、年内に利上げをするであろうとの意思を明確にしている。しかし、米債の動向をみても利上げを織り込んでいるようには見えない。むしろECBの量的緩和を受けたドイツの長期金利の低下などを背景に、米国の長期金利も低位安定していたような状況にあった。さらに株式市場は指数が過去最高値を更新するなど、日本を含めた金融緩和の影響で過剰流動性相場が形成されつつあった。しかし、この流れが永遠に続くわけではない。突発的なバブル崩壊のような動きが起きる懸念を秘めている。現実にここにきてのドイツ国債の動きをみると、その流れに変化の兆しも見える。

 相場には天井三日、底百日といった格言がある。買いは100日掛かっても、その分の売りは3日で起きてしまうという意味である。FRBの利上げをきっかけにこのような大きな相場変動を起こしてしまうことは避けたいはずである。

 2013年6月19日のFOMC後の記者会見において、当時のバーナンキ議長は、失業率が低下基調を維持するなどの経済情勢が見通しどおりに改善すれば、今年後半に資産購入プログラム(LSAP)の規模縮小をスタートさせるのが適当と見ていると述べた。これをきっかけに米国の株式や債券が大きく下落し、これは「バーナンキ・ショック」と呼ばれた。この発言は失言ではなかったかとの見方もあったが、これも事前にガス抜きを意図していた、つまり用意周到に準備されていたとの見方も可能となる。現実にその年の12月のFOMCでテーパリングを決定している。

 イエレン議長もこのときのバーナンキ議長の発言を意識して、今回の発言をラガルト専務理事と示し合わせて行った可能性があるかもしれない。バーナンキ・ショックの半年後にテーパリングは現実化したことを考えると、9月のFOMCの可能性もあるものの、約半年後の10月か12月あたりの正常化、つまり利上げを意識した発言であったのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2015-05-10 10:07 | 中央銀行 | Comments(1)
Commented by 風水とは at 2015-06-06 12:01 x
こんにちは。いつも的確な論説、分析ありますがとうございます。今回の記事に思うところあり、投稿させもらいました。内容は、中務官務陰陽寮の安倍晴明の起源は阿部仲麻呂説ではないのか?です。風水とは吉兆不吉を気道磁気などを風水のような流れから読み解くものだと理解しておりました。その風水的なものが、阿部仲麻呂などの遣使により日本へ伝来し、防衛呪詛的な陰陽道に解釈されたという事ではないでしょうか。さて本題ですが、童話寓話説話の解釈は部分的に引用されても意味が無いのではとおもいます。全体像から良いとこ悪いとこを引用しておられのは解りますけどね。引用元が現実味がない。例えこの神話国家が防衛呪詛的ではなく、善良で高度な頭脳をお持ちな単一民族であり、又元寇襲来のように神風が吹いた神話があったとしてもですね。今回の記事で、幻想的で不現実的で心配になりますね。
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