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超長期国債先物の改革

 大阪取引所は4月28日に超長期国債先物取引の取引活性化を図る観点から、商品性を見直すと発表した。超長期国債先物取引は昨年4月に取引を再開したものの売買高は低迷し、売買が1か月以上成立していない。流動性の向上が課題となっていたことで、売買高を増加させるべく改革を実施するようである。

 何故、超長期国債先物の売買高は増えなかったのか。このひとつの要因に、あまりに使い勝手の良い「長期」国債先物の存在がある。1985年10月に東証に上場した長期国債先物は、金融先物として日本で初めて上場した商品である。この上場に興味を持って、のちに債券ディーラーとなったのが私だが、それはさておき、この長期国債先物の上場は非常にタイムリーであった。

 1985年に銀行のフルディーリングが認可されたことに加えこの長期国債先物の上場もあり、さらにこの年のプラザ合意もあり、為替市場とともに債券市場もディーリング時代を迎えることになる。債券市場の動向が、売りも買いも可能な先物の動きで示されるようになり、そこに10年国債の指標銘柄を中心としたダイナミックな債券売買が始まった。

 その長期国債先物は売買高が中心限月に過度に集中するという、先物取引としてはやや異例ともいえる存在となった。それは期近・期先などの別だけでなく、債券先物としても、のちに上場した中期国債先物や超長期先物への分散もほとんど起きなかったのであることからも明らかであった。長期国債というよりも債券先物として長期国債先物の中心限月は、売買の厚みなどがあり、債券取引の一極集中型のベンチマークとなっていった。

 このように長期国債先物に過度に集中している売買を取り崩し、あらたに「超長期」国債先物をもうひとつの国債先物の柱にできるのか。今回、大阪取引所は2つの大きな変更を行う。ひとつが売買単位をこれまでの5銭から1銭にしたことである。長期国債先物の使い勝手の良さのひとつが1銭単位の売買であることも確かであり、とりあえずこれで長期国債先物と同じ土俵に上がる。

 もうひとつ大きな変更が、標準物の利率を6%から3%に引き下げたことである。1985年に上場した長期国債先物の標準物の利率はいまでも6%である。何度かその見直しも図られたが、その使い勝手の良さは維持されており、価格の連動性なども意識されて変更はされなかった。しかし、1985年当時と現在では国債の利回り水準は大きく異なる。超長期国債先物については価格の連動性はあまり意識しないで済むこともあり、より現状の利回りに近づく3%への引き下げは歓迎されよう。ちなみに債券先物で長期と超長期の標準物の利率が異なるものは海外では存在し、特に問題はないようである。

 もうひとつ、受渡適格銘柄の年限が現行の18年以上から19年3か月以上に変更されることで、チーペストがより20年に近づき、20年国債のヘッジがより容易となる。

 これにより超長期国債先物の取引が活況になるのかどうか。利率の引き下げの要因のひとつが、現在の超低位の利回りにあり、一時は6年債あたりまで利回りがマイナスとなっていた。つまり長期国債のチーペストの7年に接近していた。これはやや異常事態ではあったが、先物の利回りがゼロに接近していたのである。日銀の国債大量買入により、利回りが低下するとともに流動性も後退すると、より期間の長い国債の価格変動リスクが大きくなる。その意味で使い勝手を向上させた超長期国債先物へのニーズも出てくることもありうる。しかし、30年近い歴史を誇る長期国債先物の牙城を崩すのは容易ではない。超長期国債先物取引の商品性の見直しは2015年7月6日から、2015年12月限月取引以降の限月取引を主な対象として実施するそうである。

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by nihonkokusai | 2015-05-01 09:21 | 債券市場 | Comments(0)
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