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日米英と独の長期金利の動きの違い

 4月8日のスイスの10年債入札で、落札利回りはマイナス0.055%になり、欧州ではこれまで5年債での落札利回りのマイナスはあったが、10年債入札では初のケースとなった。つまりこれは歴史上でも初めてのことになる。ただし、入札の落札利回りではなく、流通市場では1月16日にスイスの10年債利回りが初めてゼロを下回りマイナスとなっていた。

 スイスの長期金利の低下は、1月15日にスイスの中央銀行であるスイス国立銀行が、スイスフランの上昇を食い止めるために設定した対ユーロの為替レートの上限を撤廃すると発表し、同時に超過準備に適用する金利をマイナス0.25%からマイナス0.75%とし、政策金利のLIBOR誘導目標レンジもマイナス1.25%~マイナス0.25%に引き下げた。つまり利下げを実施したことも影響している。

 4月9日にドイツの10年債利回りは、0.139%を付け過去債低利回りを更新した。フランスの10年債利回りも0.419%と過去債低を記録している。これらドイツやフランスの10年債利回りの低下は、ECBの量的緩和による国債の買い入れが要因となっている。

 ドイツの10年債利回り(以下、長期金利)は、いまだに右肩下がりのトレンドを継続しているが、これに対して米国や英国の長期金利は今年1月末あたりが底となり、右肩下がりのトレンドはいったん終了した。米国は年内の利上げ観測が出ており、米債に連動しやすい英国債も同様の動きとなっていることは、ある程度理解できるが、日本の長期金利も米英と同様に底打ちしていたのである。

 1月20日に日本の10年債利回りは0.195%をつけ、5年債の利回りがマイナスをつけたところで、日本の長期金利はボトムアウトした。量的緩和を決定した1月22日のECB理事会を控えての動きであり、その前のスイス・ショックも背景とした欧米の長期金利低下の影響を日本の長期金利も受けていた。しかし、5年債利回りのマイナスはさすがに行き過ぎであったのである。

 このときには日銀が追加緩和として、超過準備の付利の引き下げや撤廃をするのでは、との観測もあった。それは日銀の金融政策の操作目標(マネタリーベース)を変えない限りは無理な話であり、実際に付利の変更はなかった。付利が存在する限り、短期債はさておき2年債以上の国債利回りがマイナスとなるのはかなり無理がある。つまり弾みでつけてしまった感もあり、日本の長期金利は底打ちしたとの見方もできるのではなかろうか。

 ユーロ圏の長期金利の低下が異常なのか。日米英の長期金利の底打ちのような状況がおかしいのか。それともそれぞれの事情で動いているので致し方ないのか。日本もファンダメンタル等からみて長期金利は再度低下するとの見方もあるが、むしろドイツやスイスの長期金利の低下が行き過ぎているとの見方もできるのではなかろうか。日米英と独の長期金利の動きの違いは何らかのかたちで修正される可能性があり、それがどのようなかたちで修正されるのかも注目しておく必要がありそうである。

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by nihonkokusai | 2015-04-13 09:36 | 債券市場 | Comments(0)
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