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30日の日銀決定会合での追加緩和の可能性

 4月8日の日銀の金融政策決定会合では、金融政策は賛成多数で現状維持が決定れた。4月にはもう一回、4月30日に決定会合が開催される。4月と10月は展望レポートが公表されることなどにより、その月だけ1回ではなく2回開催される。その4月30日の決定会合での追加緩和観測が一部に出ているそうである。そういえば前回の追加緩和も昨年10月末のその月としては2回目の金融政策決定会合で決定していた。

 昨年10月末の量的・質的緩和の拡大の要因は何であったのか。このあたりから振り返ってみたい。その本当の理由は想像するしかないが、報道などによると執行部(総裁・副総裁)は1か月前あたりから準備を進めていたとされている。

 市場では事前に一部で追加緩和観測は出ていた。これは短期金融市場でのマイナス金利の発生により、国債の買入れ額の調整や、買い入れる期間の延長が必要とみられていたためである。これは技術的なことであり、そうであれば中途半端な追加緩和のような格好となることで、私はこの理由での追加緩和はないと見ていた。

 ところが日銀はかなり無理をして、二度目のバズーカを撃ってきた。無理をしてというのはこの際に反対票が4票も入ったことでもわかる。それではどうして黒田総裁はこのタイミングで追加緩和を実行したかったのであろうか。

 ひとつの要因として、このときの会合の公表文にあったように「短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」ためと思われる。

 このとき公表された展望レポートでは、消費者物価の見通しについて、消費増税の影響を除いたベースで今年度は1.2%、来年度は1.7%と、前回の見通しから下方修正していた。日銀の物価目標達成は困難という見方が広がる恐れもあった。この日の朝には2014年9月の全国消費者物価指数が発表されており、日銀が試算する消費増税による影響分の2.0%を差し引くと1.0%となっていた。

 それよりも政府への支援策が意識されていた可能性もある。GPIFの運用比率の変更の正式アナウンスが31日の夕方に出ていたが、これにタイミングを合わせることで株価を押し上げることができる。日銀はETFとREITの買入れ増額も発表していた。

 さらに10月29日のFOMCではFRBはテーパリングを終了させていた。このタイミングで日銀が追加緩和を実施すれば、FRBと日銀の金融政策の方向性がより顕著となり、それはつまり円安ドル高を加速させる要因となる。この円安を促す影響も考慮に入れていた可能性がある。

 円安株高が意識されての追加緩和だとすれば、消費増税に向けての景気対策の下地作りとの見方もあろう。ただし、消費増税を意識するのであれば、そのタイミングはあまりに早すぎた。ただし、現実には政府はこのタイミングで消費増税の先送りを検討しており、その政府の動向を意識しての決定であった可能性もある。

 このように昨年10月末の追加緩和は、サプライズを含めて、いろいろな要因が想定された。それを踏まえて、はたして今月30日に追加緩和の可能性はあるであろうか。

 昨年10月末の決定会合では政府関係者が一時会合の中断を求めるという珍しい事態が発生していたが、これは政府と日銀の意思疎通がしっかり行われていなかった可能性を示す。これは消費増税を巡ってのものとの見方もできようが、今の段階では特に政府にこのときのような動きはなさそうである。

 国債買入の技術的な問題による買入枠の増額の可能性も現状は考えづらい。

 FRBの利上げは今年の6月から9月との見方がいまだに強いとみられ、このタイミングで日銀が先に動いてしまうと為替市場へのインパクトは薄れてしまう。米利上げとタイミングを合わせた方が良いはずである。

 展望レポートの物価予想等の修正に合わせてとの可能性もないとは言えないが、日銀のシナリオ、つまり原油価格の反発もあっての物価の上昇シナリオに沿うかたちで数字が出されれば、追加緩和の必要性はなくなるのではなかろうか。

 2年で2%の目標が達成できなかったからという理由であれば、それは30日ではなく8日の会合で決めるべきものではなかろうか。

 このように今月末での追加緩和については、その要因となるものが前回の昨年10月末ほどはないように思われる。政府が注視する日経平均も2万円近くまで上昇しており、株式市場への日銀によるてこ入れが必要な状況にはない。個人的には30日の決定会合でも現状維持と予想するが、別な要因により、あらたなサプライズがあるのだろうか。

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by nihonkokusai | 2015-04-09 09:22 | 日銀 | Comments(0)
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