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国債のリオープンでの発行方式の変更

 3月25日に財務省は「平成27年度の10年利付国債、20年利付国債、30年利付国債、40年利付国債及び物価連動国債のリオープン方式等」に関する発表を行った。

「平成27年度の10年利付国債、20年利付国債、30年利付国債、40年利付国債及び物価連動国債のリオープン方式等」
http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/press_release/270325-03.htm

 国債のリオープン式の発行とは何か。国債は年度の予算に応じて発行額が決定される。2015年度の国債発行計画は予算案が閣議決定されたタイミングの1月14日に財務省が発表した。国債発行予定額のうち、入札等で市中に発行される分が、カレンダーベースの国債発行額となる。国債発行総額とカレンダーベースの発行額の違いについてはかなり複雑な面もあり、興味のある方は拙著などで確認していただきたいが、とにかく毎月の入札等で発行される分がカレンダーベースの国債発行額となる。

「カレンダーベース市中発行額」
http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2015/calendar150114.pdf

 期間2年の国債は毎月発行されるものの償還日は異なる。これに対して5年、10年、20年、30年、40年については償還日がまとめられている。5年、10年、20年、30年は四半期ごとの償還となっている。このうち5年債は市場実勢に基づいて同じ償還日でも違う利率の発行もありうるが、同じ償還日と利率であれば同一回号(銘柄)として発行される。これがリオープンつまり同じ銘柄の追加発行というかたちでの発行となる。これに対して10年債は条件付きでリオープンとなり、20年、30年は四半期ごとにひとつの銘柄として発行される形式になっている。

 10年債については長期国債先物の価格に影響を与えるチーペストと呼ばれる残存7年国債の厚みを事前に確保するために、同一の償還日のものは利率を統一して3つまとめてひとつの銘柄として発行するという目的があるとみられる。それとともに日銀による大量の国債買入による流動性の問題もあり、ひとつの回号の発行額を増やそうとすることが目的となる。

 今回の発表で大きく変わった点が10年国債にある。これまでは「クーポンが0.1%動く場合でも新銘柄とはせずリオープンとし、0.2%以上動いた場合は新銘柄にする」となっていたが、新方式では「入札日の市場実勢利回りと、償還日が同じ銘柄の表面利率との乖離がおおむね0.30%を超える場合には、新発債の発行とします」とある。つまり、同じ償還日となる10年国債については既発債の実勢利回りと利率の差が0.2%ではなく0.3%の乖離が生じない限りは同じ銘柄として発行されるというものである。4月2日の10年国債入札から適用され、今年度を通じた発行方式とするが、市場環境に大きく変化が生じた場合等には見直すとしている。

 20年債、30年債については実勢利回りの動向如何に関わらず、四半期ごとに同一銘柄で発行される。40年債については4、6、8、10月と来年2月発行分は8回債として、ひとつの銘柄で発行される。物価連動国債も年間1銘柄となるが、これらは市場環境等によってはリオープンとしないこともあり、その場合には入札1週間前に発行予定額等と合わせて発表するとしている。

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by nihonkokusai | 2015-04-03 09:38 | 国債
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