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日銀のテーパリング(国債買入縮小)が困難な理由

 先日、若手の市場関係者と話しをする機会があり、そのなかで日銀の国債買入のことを「輪番オペ」と呼んでいたことに少し驚いた。輪番オペとは、むかし、日銀が国債を市場からオペレーションとして買い入れる際に、いくつかのグループに分けて輪番制にしていたことに由来する。昔は財務省の資金運用部による国債買入や国債整理基金による国債買入もあったことで、それらと区別するために輪番オペと称していたのではないかと思われる。しかし、すでに日銀の国債買入は輪番制でもないにも関わらず、その言葉が若い市場関係者たちにも使われているのが驚きであった。妙な伝統が債券村では受け継がれているようである。

 この日銀の国債買入がスタートしたのが1967年1月であった。1966年1月に戦後初めての国債が発行されて1年後に日銀の国債買入はスタートしていた。その後、2001年の日銀による量的緩和以降、国債の買い入れは飛躍的に増額される。ただし、それは速水総裁時代の話で、福井総裁時代は国債の買い入れの増額はされていないという興味深い事実もあった。

 しかし、白川総裁時代には世界的な経済金融危機により、再び国債の毎月の買入額は増加していった。2010年10月には包括緩和策としてあらたな国債買入も決めた。ただし、このあたりまでの日銀の国債買入は中短期債が中心となっていた。日銀は2006年の量的緩和解除の際にバランスシートをすぐに縮小できたのは短期資産が中心であったためである。そして、国債買入も中短期債であれば償還が早いため、償還分の乗り換えをしなければバランスシートの縮小は比較的容易となる。しかし、黒田総裁の異次元緩和により、より長い期間の国債を大胆に買うことになってしまった結果、バランスシートの縮小は困難というか、かなりの期間を要することになってしまった。

 それ以前に1998年の運用部ショックが運用部の国債買入の縮小・停止がきっかけで起きたように、日銀によるテーパリングが仮にあったとしても、それによってかなりのショックが債券市場で起きる可能性がある。FRBもバーナンキ・ショックと呼ばれる米国債の下落等はあったが、日本国債の動揺はそんな比ではなかろう。だからこそ福井総裁は国債買入の増額は行わなかったのではないかと思われるし、白川総裁は買入を中短期主体にしていた。それが生ぬるい、だからデフレになってしまったという良くわからない理屈で実施されたのが長い期間の国債を大胆に買うという黒田日銀の異次元緩和である。それはつまり日銀によるテーパリングをより困難にさせてしまったと言えよう。

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by nihonkokusai | 2015-04-01 09:42 | 日銀 | Comments(0)
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