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国債急落の際に何が起きていたのか

  1929年10月24日にニューヨーク証券取引所で株価が大暴落した際や、1987年10月19日に起こった史上最大規模の世界的株価大暴落であるブラックマンデーの際に何が起きていたのか。いろいろと研究もなされており、その原因や急落に至る過程もある程度は明らかになっていると思われるが、それでも具体的なことについてどこまで明らかになっているのかは定かではないのではなかろうか。ただし、株式市場は他の市場に比べてオープンな面もあり、たとえば具体的な手口等も明らかになっていたとみられ、そのあたりから急落のきっかけもつかめていたかもしれない。

 これに対して債券市場は非常に閉鎖的である。この理由としては銀行の存在があった。株式を取引している取引所の会員、つまり取引を行っていたのは証券会社である。場立ちと呼ばれる証券会社の人間が、取引所の監視の下、実栄証券・仲立証券が間に立って株の取引をして値段をつけていた。このため、どの証券会社がどのくらいの注文を出していたのかは一目瞭然であった。いわゆる手口はオープンというより、手口が見えているのが当然であったのである。またその背景にいる顧客についてもある程度、大口の顧客であれば推測も可能となった。注文の出し方等に癖もあり、ベテランの場立ちはそれを見抜いていたと思われる。

 このように取引所の手口はオープンなものであったのだが、1985年に東証に国債先物が上場するにあたり、国債の大口保有者であり、売買も積極的にこの年からできるようになった銀行が取引所の準会員として入ってきた。この際に株のように手口を公開しないように求められた。銀行は自らの売買を見せたくはなかったためと思われる。このため、国債先物の手口はオープンにされず、他の取引についても場立ちからコンピュータを介した取引に移行したこともあり、手口情報は制限が加えられるようになってきた。

 取引所の手口もオープンではなくなってきたが、そもそも国債の現物取引については顧客と業者の間の取引には当然守秘義務がある。国債入札についても同様に公開されていない。ただし、個別にヒアリングをかけて集計したものがQUICKなどで明らかにされているが、ここには大手でも3社程度は実際の数字を明らかにしていないとされる。入札に関しては年間の上位10社は財務省が発表しているが、具体的な入札・落札額は明らかになっていない。また、日銀の国債買入についても具体的にどこから日銀がいくら購入したのかは明らかにされていない。

 ただし、月別であれば先物は取引所が、現物債は日本証券業協会が投資家別の売買高を明らかにしている。それでも具体的にどの証券会社や銀行、生保が売買したのかは明らかとはされていない。

 前置きが長くなってしまったが、このように債券市場では手口等は明らかになっておらず、1998年の資金運用部ショックや2003年のVARショックでは具体的にどこがどのような動きを見せ、それが収束するのはどのような動きがあったのかは明らかになっていない。その後解説された動きのほとんどは推測によるものである。しかし、今後もし国債相場が急落するようなことがあれば、このような国債急落時の状況把握はたいへん重要な参考資料となりうる。

 国債急落時にいったい何が起きていたのか。国債発行を担当している財務省、そして国債急落の際にも大きな影響を与えていた日銀、現在では主要保有者でもある。もちろん売買をしている業者や投資家、さらに債券先物を上場している取引所が主なプレーヤーと関係者となる。たぶん財務省や日銀、取引所には当時のデータは残っていると思われるが、業者や投資家にはそのデータは残っていないかもしれない。しかし、いまなら当時の売買担当者の記憶には残っているはずである。いつかはこの記録と記憶を突き合わせ、急落時の状況が再現できると良いのだがと、先日複数の市場関係者と話をした。しかし、結論から言えば、それぞれの守秘義務等があり、それは無理ではないかということになったのである。

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by nihonkokusai | 2015-03-18 09:37 | 債券市場 | Comments(0)
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