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国債バブル終局の可能性

 日銀の木内審議委員は3月5日の講演後の会見において、量的・質的金融緩和の副作用に関して国債市場を通じた副作用を特に警戒しているとコメントしていた。

  「現時点では、国債市場で非常に大きな副作用が明確にみられているわけではありません。しかし、将来のどこかの時点で非常に大きな問題として表面化する可能性があり、表面化してしまってからでは手遅れであるといった類の副作用を個人的には一番心配しています」
(木内審議委員の記者会見要旨より引用)

 国債市場の金利水準が経済ファンダメンタルズからみた水準と乖離しているとなれば、金融不均衡、いわゆるバブルに繋がり得ると木内委員は指摘している。

 今年1月に日本で5年債の利回りがマイナスになったことに対する説明は難しい。ベーシス・スワップ、日銀担保等からの説明もされた。しかし、スワップ市場の規模はそれほど大きくはないし、どのような投資家がスワップを絡めて多少なりの利益を得ていたのかもはっきりしていない。

 ドイツやスイスの国債の利回りがマイナスとなっていたことで、日本の国債の利回りがマイナスになってもおかしくはない、との説明も可能ではあるが、それはそうやって相場を持ち上げて日銀トレードを可能にさせた、いわば市場参加者による期待によって生まれたマイナス金利ともいえる。それではドイツなどはどうかと言えば、こちらもバブル相場が形成されていると見ざるを得ない。いずれ大きな反動がくるであろうことも確かである。

 日銀による大量の国債買入とECBの量的緩和を背景に、日本の国債利回りも異常なまでに低下し、それが結果として国債の金利をマイナスにした。その反動が1月20日以降の日本の債券相場であるが、まだ本格的な調整とはいえない。

 ECBの国債買入は今週から開始される。日米欧の国債市場にとっては最後の大きな材料がまもなく消化されることになる。それに対して米国では利上げに向けた準備が整いつつある。6日の雇用統計も予想以上に良い数字となり、3月18日のFOMC後の公表文では、忍耐強く(patient)の文言を削除し、早ければ6月のFOMCにおいて利上げが決定さるとの見方が強まった。市場は6月か9月かといった利上げのタイミングよりも、むしろその後の利上げのペースの方を注目し始めている。

 日銀の追加緩和に期待する向きもいるかもしれないが、残念ながらバズーカは弾切れである。もちろん国債買入の額をさらに増加することは数字上では可能ながら、年間の国債の市中消化分を上回るような購入は債券市場の機能を低下させる懸念以上に財政ファイナンスとの認識をより強めさせる可能性がある。国債買入でなくても、ETFなどを思い切った量購入する手段もあるが、国債ほどの数字の上乗せには無理がある。そもそも市場参加者も現在の日銀の金融政策のターゲットであるところのマネタリーベースを増やしても、物価は上がってこないことを薄々感じているはずである。結果として株価対策のためのETFの買入となってしまいかねない。

 日銀の異次元緩和はその基本的な考え方に誤りがあったであろうことも、この2年近くの経験により、いずれ認めざるを得ない。欧州も念願の国債買入を開始するが、米国が金融政策では正常化に向けて動いているように、現在の世界の金融市場は異常な事態からはすでに脱してきている。

 大きなショックが何度もやってきたことで、警戒心が強いのは致し方ないものの、このままでは金融政策だけが異常な状態を続けることになる。その先頭を走っているのが日銀であることを考えれば、その副作用が大きくなるのが日本の可能性があり、それは木内委員も指摘するように日本の国債市場で起きうることも認識しておく必要があろう。

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by nihonkokusai | 2015-03-10 09:30 | 国債 | Comments(6)
Commented by line at 2015-03-10 11:51 x
国債バブルが終局ということですが、具体的にはどういうことが生じるのでしょうか?その辺りをご教示いただければと思います。
Commented by nihonkokusai at 2015-03-10 13:29
こちらの木内審議委員の会見要旨をご参照ください。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1503a.pdf
Commented by line at 2015-03-10 21:04 x
「国債バブル崩壊」で検索したのですが、結果として何が生じるのか良くわかりません。不動産バブル崩壊なら土地の値段が下がるし、株式バブルなら株価がさがります。「国債バブル崩壊」では国債価格が下がり金利が上がるのでしょうが、日銀がさらに購入額を増やせば価格低下を防げそうな気がします。また金利が上がれば円高になりそうな気もするのですが、多くの解説記事では国債バブル崩壊で円安になると書いています。「国債バブル崩壊」に備えるとすればどうすればよいのでしょう?外貨資産を増やす?うーん、良くわかりません。
Commented by line at 2015-03-11 10:35 x
木内審議委員の会見要旨もすべて読みました。私の理解では国債市場の流動性が低下し、なにかのキッカケで買い控えが生じ金利が上昇する可能性がある、「可能性がある」というものでした。もしそういう状況になると以下のことが心配されると木内審議委員の会見要旨には書いていました。
1.金利上昇で住宅ローンの負担が大きくなる。
2.円の金利があがれば円高になりやすい。

これを読む限りでは他の「不動産バブル終局」や「株価バブル終局」に比べそれほど大きな影響は無いような気がします。住宅ローンは固定金利に変更すればよいですし、円高といっても相対的なものですから、2年前にもどっても日本国に大混乱が生じるわけではありません。

また、日本銀行はかつてと違い、国債買入を機動的に増加することも可能で、極端なことを言えば政府発行額と同額を市中から買い入れることも辞さないと宣言しております。

最近、NHKでかつての預金封鎖例を報道したりしたこともありましたが、そんなに不安を煽る必要があるとも思えません。久保田さんの考える不安シナリオとはどのようなものか教えていただけないでしょうか?よろしくお願いします。
Commented by line at 2015-03-11 11:47 x
この記事ももう一度読みなおしたのですが、
http://bullbear.exblog.jp/22605761/
私にとってやはりよくわからないのが「信任を無くす」というのが具体的にどういう状況で生じ、その結果どうなるかということです。
よろしくお願いします。
Commented by nihonkokusai at 2015-03-12 11:55
とりあえず私なりの見方をコラムでまとめてみました。後日、アップします。
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