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FRBの忍耐強さ

 2月24日にFRBのイエレン議長は議会証言において、辛抱強く(can be patient)とのガイダンスを変更した場合は、その後の会合で利上げが議題に上ることになるとしたものの、それにより必ずしもその後の複数回のFOMCで利上げすると理解すべきでないと発言した。  

 12月17日のFOMC後に公表された声明文では、「金融政策の運営姿勢の正常化開始において辛抱強くいられる(can be patient)と判断する」との表現が加わった。このガイダンスはゼロ金利政策を「相当な期間(considerable time)維持することが適切になるだろうとした前回の声明と合致する」とし、市場が注目していた「相当な期間」との表現を残す格好となった。この「considerable time」を削除し、違う表現、たとえば2004年の利上げ前のFOMCの声明文にあった「patient」を持ってくるのではとの見方があった。

 2004年1月の声明文で「patient」を使った際には、5か月後に利上げを行っていた。たしかに「patient」の表現を持ってはきたが、この際には市場に配慮するためか「considerable time」との表現も残した。ただし、ガイダンスの中心は「patient」にあり、「considerable time」はサブ的な扱いであった。FOMC後の会見でイエレン議長は、我慢できるということは、FRBが今後2回の政策会合で利上げしない可能性が高いことを意味すると述べていた。

 1月27日、28日のFOMC後に発表された声明文では、 正常化まで「can be patient」との表現が維持された。ただし前回のFOMC声明文で、このガイダンスはゼロ金利政策を「相当な期間(considerable time)維持することが適切になるだろうとした前回の声明と合致する」というかたちで残されていた「considerable time」の部分は削除された。

 議長会見の解釈があてはまるのであれば、辛抱強く(can be patient)とのガイダンスを変更した場合には、その後の2回の会合では利上げはしないとの解釈となる。つまり、3月のFOMCで辛抱強くとのガイダンスが変更されると、早くて7月のFOMCとなるが、7月は議長会見がないため、9月の可能性が高くなる、と市場では早くて9月との観測が強まった。

 果たしてそこまで辛抱強く待てるのか。個人的には6月にも正常化を決定すると見ていたが、予想以上に慎重なスタンスのように見えるが、少なくとも今回のイエレン議長の発言からは、3月のFOMCで辛抱強く(can be patient)とのガイダンスを外すであろうことを示唆したとも受け取れる。そのあとは経済データ次第ながら、毎回のFOMCで利上げについて協議することになる。その意味では6月のFOMCでの利上げの可能性もまったくないわけではない。

 辛抱強く(can be patient)とのガイダンスを外すことで、利上げに向けた準備は整い、あとはどのタイミングで決断するかということになり、それを長らく引き延ばすことはあまり得策ではない。春に方向を示し、もしくはその前に決定したほうが、市場も不安定要因が早めに解消されることで、むしろ好感するのではなかろうか。もちろん3月のFOMCで辛抱強く(can be patient)とのガイダンスを外すかどうかも不透明ではある。少なくとも、ガイダンスを外したらあまり待たせずに実行に移すほうが良いのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2015-03-02 11:26 | 中央銀行 | Comments(0)
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