12月は信託銀行や都銀、地銀が債券を売り越し
売り越しで目立っていたのは信託銀行の1兆3574億円の売り越しで、国債の投資家別売買状況を確認すると超長期債を8314億円、長期債を4996億円、中期債を2449億円と万遍なく売り越している。これはGPIFの運用比率の変更を睨んでの動きとみられ、ほかの年金なども同様の動きをしていたためと推測される。
都銀も8656億円の売り越し。長期債は5040億円の買い越しながら中期債を1兆1972億円売り越している。地銀も6013億円の売り越しとなっており、長期債を5640億円、中期債を2383億円の売り越しに。12月には2年債の利回りがマイナスとなり、5年債の利回りが0.1%を割り込み、利益確定売りも入ったものとみられる。
買い越しで目立っていたのが海外投資家で、1兆5509億円の買い越し。中期債を1兆1546億円、超長期債を2919億円買い越していた。利回り低下で積極的に海外投資家は動いており、マイナスや低い利回りのなかでも利ざやを稼いでいたとみられる。
農林系金融機関は4048億円の買い越し、超長期債を2685億円買い越しているが、中期国債については売買高がゼロとなっていた。投資信託は5908億円の買い越し、中期債を3815億円買い越していた。
生損保は1898億円の買い越し。超長期債を2085億円買い越しに。こちらは中期債の売買高はあったが、1月に入ると5年債の利回りまでマイナスとなり、生保などによる中期債の新規の買い付けは今後は困難となりそうである。
12月の債券相場も上昇を続け、10年債利回りは4月5日につけた0.315%を下回り過去最低を更新した。しかし、前述のように2年債利回りがマイナスとなり、マイナス金利の年限がじりじりと伸びてきているなか、金融機関の投資行動も次第に変わってくる可能性がある。債券市場のキープレーヤーが日銀となってしまっていること、さらに積極的に海外投資家が売買を行っているが、債券市場全体を見回すと機能不全に陥りつつあることも確かである。
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