アベノミクスの真価が問われる
安倍政権にとってはアベノミクスは信任されたとして、今後も経済政策としてアベノミクスなるものを継続すると思われる。ただし、問題はそのアベノミクスとは何かということにもなる。
選挙明けの12月15日の東京株式市場は12日の米国株式市場の大幅下落を受けて、売りが先行した。アベノミクスへの期待よりも、原油安をきっかけとした海外市場の動向に大きく影響を受けた格好となった。2年前の2012年12月16日の衆院選の結果を受けての翌17日に円安株高が進んだのとは景色が変わってきていた。
アベノミクスの根幹にはリフレ的な発想があり、それを具体化させたのが2013年4月の日銀の異次元緩和であった。しかし、今回日銀はすでに解散総選挙が決まる前に異次元緩和第二弾を打ち出しており、ここで再び円安の動きが強まり、ドル円は120円を突破していた。
しかし、ここからは新たに日銀の金融政策を元に円安株高を仕掛けることは難しい。日銀が第二弾を打ち出した要因が原油安により物価抑制にあったが、原油安は株価の上昇も結果として抑制させることになった。
原油安とそれにより株安の動きに影響される格好で、円安の動きも止まり121円台から117円台あたりに下落した。今回の米国株式市場の下落は一時的な調整の可能性もあるが、ダウ平均は過去最高値をつけるなどしていたことで、いったんピークアウトした可能性もありうる。
日経平均株価のトレンドは、日銀短観の大企業製造業DIの動きにある程度連動していることが知られている。その日銀短観が12月15日の朝に発表された。大企業製造業DIはプラス12と前回の13からやや悪化し、3か月先についてはプラス9になる見通しとなっていた。これからみると日経平均もここでいったんピークアウトする可能性がある。
12月16日、17日のFOMCでは声明文における「相当な期間」との表現の部分が削除され、利上げに向けた動きを強めることも予想される。これはドル買い円売りの材料ではあるが、それもかなり織り込みつつある。むしろFRBが利上げに向けて慎重姿勢を示してくるとなれば、ドル安の動きを強めることも予想される。
円安株高と日銀の異次元緩和というアベノミクスの原動力については、ここからはあまり期待はできない。それでも経済成長を継続させるというのであれば、三本目の矢をしっかり撃つ必要があるが、果たしてそれができるのか。ここから本当の意味でのアベノミクスの真価が問われる。
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