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日銀は消費増税の延期を黙認する格好

 11月19日の日銀金融政策決定会合では、前回の10月31日に「量的・質的金融緩和の拡大」(QQE2)を決定してから日も浅く、その効果を見守りたいとして金融政策の現状維持を8対1(木内委員が反対)で決定した。

 安倍首相は消費増税を延期し、21日に衆院を解散すると表明した。衆院選の日程は12月2日公示、14日投開票となる。安倍首相はアベノミクスの是非が最大の争点になるとの見通しを示した。

 10月31日の日銀のQQE2の決定の要因については、原油安による物価下落への懸念によるところが最も大きかったと思われる。31日にはCPIの発表もあった。さらに数日前にFEDがテーパリングを終了させていたタイミングであり、円安ドル高を誘う要因ともなる。また、GPIFの運用比率変更の発表にぶつけることで、株高円安の相乗効果を生む狙いがあったとみられる。

 そして、これまで報じられていたものを確認する限り、このQQE2は予定通りの消費増税を見越してのものであり、むしろ来年の消費増税決定を後押しする狙いもあった。10月31日時点では安倍政権は消費増税延期と解散までの結論には至っておらず、日銀のQQE2による円安株高をみてむしろ好機と捉えたことも伺える。

 10月31日に日銀は展望レポートも公表しており、ここで2014年度の実質GDPを7月の見通しの1.0%から0.5%に大きく下方修正した。これはある程度7~9月期のGDPの悪化を意識していたものとみられる。また、物価見通しも小幅ながら下方修正し、これはつまり10月以降のCPIが予想通りの上昇は難しいことを意味する。そのためにQQE2を実施したともいえる。

 11月17日に発表された今年7~9月期実質GDP一次速報値は前期比マイナス0.4%、年率換算ではマイナス1.6%となった。日銀にとりマイナスまで想定していたかはさておき、ある程度想定の範囲内であり、そのために先に手は打った、という格好となった。

 問題は消費増税延期の決定をどうみるか、となる。QQE2の決定は5対4ということで、4票の反対票が入っていた。17日のGDPを見る限り適切な金融政策であったとみることもできなくはない。しかし、本当の狙いが円安株高と物価下落観測を後退させることであったのであれば、反対票を投じた委員の理由もわかる。むしろ、賛成票を投じた委員のほうがその理由説明は難しい。これは先日の宮尾審議委員の会見でも示されていた。さらに今度はQQE2の前提条件となっていた来年の消費増税も反故にされてしまった。

 決定会合後の黒田総裁の会見では消費増税の延期に関する質問が集中した。金融政策は日銀が決めることであるのと同様に、消費増税に決定権は政府にある以上、政府の決定を尊重するという格好となった。しかし、海外からはすでにバンザイノミクスとの造語も生まれているように、財政ファイナンスとの懸念が今後強まりかねず、格付け会社も日本の格付けを再点検する構えも見せている。

 債券市場はいまのところ動じる様子はない。しかし、市場参加者はかなり神経質となっていることに加え、日銀の大量の国債買入れで市場の厚みも失われている。何かしらのきっかけで国債が急落するリスクは以前に比べて大きく高まっていると見ざるを得ない。

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by nihonkokusai | 2014-11-20 09:37 | 日銀 | Comments(0)
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