牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

嘘を言っても良い金融政策と衆院解散がダブルで来た

 その昔、「解散と公定歩合は嘘をついても良い」と言われたことがある。いまでも国会議員などが口にすることがあるようだが、これは法律とかで明文化されて認められたものではない。国会議員を中心にそのような認識を持っているといったものである。

 子供には嘘をついてはいけないと教えながら、何故、公定歩合と解散は嘘をついても良いと言うのか。それは公定歩合も解散も国にとり非常に重要なものであるが、その決定権は一部の人間が握っていることと、サプライズが重要であるためと思われる。

 公定歩合というのは昔の日銀の政策金利のことである。これは日銀の「金融政策」のことを意味する。これを決定するのは日銀であり、しかも限られたメンバーにより決定される。現在は9名の政策委員の合議制によりきめられる格好ではあるが、ある程度、総裁が主導権を握って政策を決定していると見てよい。もちろん総裁の独断で決められるものではない。

 これに対して衆院の解散権については首相が持っているとされる。これは憲法の解釈によるものとなるが、とにかく首相が衆院を解散すると言えば解散される。この決定権は首相だけが持っているため、解散を宣言するまではこのことについては言質を避けることになり、それが嘘をついても良い、との表現に変わったものと思われる。むろんサプライズというか野党の隙を突くため、解散は考えてないと事前に発言することも多々あろう。

 それほど国にとって重要なものであり、さらにサプライズが必要とされる金融政策の変更と衆院解散があまり時を置かずにやってきそうなのが今回である(もちろん解散は正式に発表されているものではないが)。

 ただし今回の、国にとっても最重要事項のふたつのタイミングが重なったことは何を意味するのであろうか。これは相乗効果を生むのかと言えば、そうとは限らない。むしろ不協和音を生み出す懸念が出ている。

 10月31日の日銀の量的・質的緩和第二弾(QQE2)は、市場にとってはまさにサプライズとなり、円安株高を促進させた。この決定に際しては政府の意向を反映してのものであったかどうかは推測するしかないが、可能性はある。

 ところが政府というか安倍首相は日銀の異次元緩和パート2により生み出された円安株高の流れも意識した上で、このタイミングとばかり解散権を行使しようとしている。しかも、日銀には結果として嘘をついた格好となり、消費増税の延期もセットにしようとしている。

 日銀の黒田総裁はQQE2の決定について「2015年10月に予定される消費税率の10%への引き上げを前提に実施した」と述べている。これが本当であれば、まさに政府にしてやられた格好となる。

 こうなると日銀がQQEやQQE2の前提条件となる財政再建への取り組みが崩れることにもなりかねない。今後は政府と日銀の間に隙間風どころか亀裂が走る懸念が出てきた。

 現在のECBとドイツの関係も同様である、量的緩和を推し進めようとしているドラギ総裁に対し、ドイツを中心として反対派との対立が、かなり深刻な事態になっている。中央銀行の独立性を重視してメルケル首相は沈黙を保っているが、仮にドラギ総裁が強硬手段に打って出て量的緩和を推し進めると政治問題に発展する懸念もある。

 日本も同様に今回の件で政府と日銀の間に軋轢が生じ、それが市場に影響を及ぼすことも予想される。すでにアベノミクスからバイザイノミクス(日銀のマネタイゼーションと政府の財政規律放棄で国債バンザイとの意味だとか)へと言っている人も出ている。安倍政権にとり円安の心配をするのも選挙には重要かもしれないが、国債の心配もしておいたほうが良いのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2014-11-14 09:36 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー